高さ3m超のキリンのオブジェに真っ赤な巨大イス、敷地内にはメリーゴーラウンドも! ここは博物館? それとも遊園地? その正体は函館のハンバーガーチェーン『ラッキーピエロ』の旗艦店、峠下総本店だ。
地元で“ラッピ”の愛称で親しまれ、函館を中心とした道南のみに17店舗を展開。チェーン店舗といえば杓子定規に似た造りだが、ラッピでは店舗ごとに異なるテーマがあり、同じデザインはひとつとしてない。
王未来社長は満面の笑みで話す。
「例えば、マリーナ末広店は海がテーマ。ヨットハーバーの脇にあり、店舗の80%が海の上。各店ともDNAは同じだけど、個性は違う兄弟のようなもの。その日の気分で楽しんでもらえたら」
感動と異体験を楽しんでほしいーー。その驚きは誰かに伝えずにはいられない。口コミで評判はどんどん広がっていく。
感動は味もしかり。看板メニューの『チャイニーズチキンバーガー』(通称チャイチキ)は、ふわふわバンズに甘辛味の大きな鶏から揚げがドカンと3つ。新鮮なレタスとマヨネーズを挟み、ボリューム満点だ。ほおばれば、アツアツでジューシーな肉のうまみが炸裂!
いまや年間220万人もの客が訪れる“観光地”でもある。創業は'87年。ベイエリア本店からその歴史は始まった。王社長の実父で、創業者・王一郎会長は神戸出身。なぜ函館で?
「旅行で訪れた際、港町の風景が故郷に似ていて一瞬で好きになったそうです。移り住み、まずはパブを開きました。その後は居酒屋、中華料理店なども」