「ケンカ別れじゃないですよ(笑)。蓬莱がウチです。ほかとの差別化を考えていたとき、羅邦強が吸っていたタバコ『State Express 555』が目にとまったそう。数字は子どもからお年寄りまでわかるし世界共通。
当時の電話番号は“64―551”で、“ここが1番”という語呂合わせも書いていたので、改めて、それを目指そうという思いから『551蓬莱』ブランドは誕生しました」
いまやテークアウト専門店も含め全59店舗。大阪はもちろん、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀に広がっている。関西以外に出店しない理由を尋ねると、
「自社工場(桜川)からトラックで150分以内に生地を届けられるところだけなんです。ウチの生地はすごくデリケートなので」
店舗には、1日に3〜5便のトラックがやってくる。届いた生地は店舗で2度目の発酵をさせ、人の手で丁寧に包み、蒸したてのホカホカを販売している。各店舗で、その日の客足を見ながら、常にできたてを提供できるよう、生地はすぐに発酵する“スグ”、発酵に時間がかかる“オサエ”、その中間の“フツウ”の3段階に分けて使うこだわりよう。
「できたてが絶対においしいので、作り置きは一切しません。常にベストの状態で出しているので割引はしないかわりに、ずっと庶民価格です」
大阪人の足である、大阪メトロの初乗り運賃(現在は180円)を超えない価格を守り抜いている。
「無理はせずに、目の届く範囲で精いっぱいやらせていただきたい。私たちには、大阪に育てられたという思いがやっぱりあります。関西の人たちがずっと買ってくれて、私たち以上に“この豚まん、おいしいんやで”って口コミで宣伝をしてくれたからこそ、全国に知っていただけるようになりました。
前社長の口癖は“ビッグカンパニーよりも、グッドカンパニー”。大阪人として、自分の地元で食べられるものを守っていきたいという気持ちは、ものすごく強いんです」
※表示価格はすべて税込みです