貴婦人は、野性的な男がお好き!?
─岸田今日子さんと3人でよく旅行もされていましたよね。
吉行 3人の旅はただただ楽しかった。みんな全然、性格が違うから。
冨士 この人はどこの国に行ってもマッサージを探しにひとりで夜出かけちゃうの。心配になって探しに行ったこともあったわ。
吉行 大丈夫なのに。旅行に行っても夕食後は別行動なのよね。あなたはお酒を飲むけど、私と今日子さんは飲まないし。そういえばあなたは、ハワイ島でおじいちゃんに惚れられたじゃない。
冨士 孫が17人いるロバートさんね。あなたと今日子ちゃんはヘリコプターでキラウエア火山を遊覧して。私は怖いから絶対乗らなかった。ジープで川を横断したりとか。その運転手がカッコいいって、今日子ちゃんが。
吉行 今日子さんはああいう激しい感じの物事や人が好きだったわよね。雰囲気と違ってね。
冨士 貴婦人は野性的な男を好きになるの。貴婦人といえば、今日子ちゃんは『ミス・マープル』の吹き替えを担当していたけど、声で自在に表現できる人だから、本当にうまいなと思ったわ。
吉行 本当に楽しかったわね、3人でいると。
─最後に、今回の本の中から3句ずつご紹介を。
冨士 あなたの句では「雪解道(ゆきげみち)男の腸を踏むごとし」がいちばん好き。嫌いになった男ってそんな感じでしょ。
吉行 雪が解けてきて、土で黒くなって汚くて、腸というものは長いと聞いたな、と思いながら長靴で歩いているとき、できた句よ。
冨士 私たちって別れるまでは尽くすけど、別れたら未練はない。ふたりとも人生金持ちには縁がなかったわね。家電製品を買ってあげたり、貧乏な人ばっかり(笑)。
吉行 でもあなたには今、大谷君がいるじゃない(笑)。