芸能メディアの力関係を変えるかもしれない。そんなふうに思えるイベントがありました。
9月27日、そして10月2日。新人のお目見えに芸能メディアがざわつきました。
元SMAPの木村拓哉(45)と歌手の工藤静香(48)の次女でモデルのKoki,(15)が公の場に登場したからです。
そこでひと悶着(もんちゃく)ありました。
呼ばれたメディア、呼ばれないメディア
関係者が耳打ちします。
「デビューイベントは、ファッションブランドCHANELのイベントでした。“おっさんメディア”のスポーツ紙は取材から外されたのです」
とはいえ、情報は漏れ伝わります。いくつかのスポーツ紙の記者は、ダメ元で現場に駆けつけて取材を申し出ましたが、呼び込み側はかたくなに拒否。
「通常であれば、来ていただいたのだからどうぞ、となっても不思議ではないのに、それをやってしまうと収拾がつかなくなるため、門前払いを徹底しました」と前出・関係者。
その場に呼ばれたのは、テレビ、そしてウェブメディアでした。このことに注目するのは、ベテラン芸能記者です。
「芸能メディアは、長い間スポーツ紙とワイドショーが両輪を担う世界でした。大手プロダクションにはスポーツ紙の番記者(=担当記者)が張り付き、ネタが流れてくるシステムです。
木村拓哉も工藤静香も、旧態の芸能取材の中でどっぷりと育ってきました。ウェブメディアは新参者。古い芸能界の広報担当者は、軽くあしらってきました」
紙媒体と電波媒体(テレビ)は取材に呼んでもウェブ媒体はNG、というスタイルはこれまでもありましたが、Koki,側は「電波媒体とウェブ媒体はOKで、紙媒体はNG」、そんなくさびを、芸能メディアに打ち込んだのです。
これは新しい。新しい時代のスターを目指すKoki,という、暗黙の触れ込みになります。
10月2日に行われた、大塚製薬の新CM発表会は、大量露出のため、あらゆるメディアが呼ばれました。その数を、スポーツ紙は「100社140人」などと報じました。
露出は重要です。しかしそこには、質を伴った露出が重要です。
数や量がすべて、という時代から、ピンポイントにターゲットを絞った仕掛けのためには、これまで王道だったスポーツ紙を門前払いすることもあるのです。
そのことを、Koki,は、さりげなく提示しました。本人の意向ではないにしても、ちょっとした事件だと私は受け止めます。
<取材・文/間垣ジェーン美瑠>