チャンスが得られると、八面六臂の活躍をする人も少なくない。
「障害があるというだけで“この人が働くのは大変なんじゃないか?”と思われる。それが、障がい者の就労を阻害するいちばんの要因ではないでしょうか?」
こう語るのは、原宿店で働く高橋麻美さん(26)。骨が伸びにくくなる先天性の難病・軟骨異栄養症のため、下半身に障害がある。
'16年5月に入社した高橋さんは、花の販売スタッフとして週5日間、フルタイムで働いている。また、海外のフラワーショーへの出張や、代表とともに企業へ出向いて、障がい者雇用に関するアドバイスを行うなど、会社の“顔”ともいうべき活躍をしている。
身長が伸びづらい疾患ゆえ、高いところに手が届かない不便さはあるものの、働くうえで、自身やほかのスタッフの「障害」を意識することはない。
「障害があってもできることは多いのに、ハローワークで紹介されている仕事は職種が少ないし、その幅も狭いんです」(高橋さん)
一緒に働けるような体制を
一方、雇用する側はどう見ているのだろうか?
「精神障害のあるスタッフは休み明けに気持ちを切り替えることができず、欠勤してしまうことがあります。ですが、出勤したときは素晴らしい戦力になってもらえる。欠勤の問題を業務課題ととらえ、スタッフとともに工夫の方法を考え一緒に働けるような体制を整えるようにしています」
とは、ローランズ代表の福寿満希さん。体制づくりのひとつとして、花の販売に際し、3人1組で勤務時間を調整し合う“3キャップ体制”を敷く。
「1人が休んでも、ほかの2人でカバーできます。同じ悩みを持っている者同士ですから、理解し、支え合えるのも利点です」(福寿さん、以下同)
ローランズでは障がい者雇用で働くスタッフのうち、精神障害が8割を占めている。特に意識したわけではなく、「一緒に働きたいと思える、魅力ある人を選んだ結果」だと話す。
「健常者でも、子育て中は時短で働いたり、子どもの病気などで急に帰らなければならなかったりします。これも見方を変えれば“働くうえでの障害”といえる。例えば、精神障害ならば、その働くうえでの不便さをどうカバーし合っていくか考えるだけ」
働くうえでの障害は、工夫次第でならすことが可能だ。それを踏まえて、福寿さんは強調する。
「頑張っている人にチャンスを与えたくなるのが人情。チャンスを与えられるような自分になることも大切です。スタッフには“やってもらって当然という姿勢は違うよ”と伝えています」