30代から増え始める女性ならではのがん
『全国がん登録』の集計結果によると、2016年に新たにがんと診断された女性は42万8499人。部位別にみると、1位は乳がんで9万4848人。2位は大腸がんの6万8476人、3位は胃がんの4万1959人と続く。女性特有のがんである子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)も、4位の肺がんをはさんで5位にランクインしている。
「なかでも子宮頸がんの増加が目立ちます。20~30代の若年層に限ると、がんの死亡率ではトップです」
そう指摘するのは、婦人科がん専門医で『女性のための菊池がんクリニック』院長の菊池義公医師だ。
子宮頸がんは、性行為でうつるヒトパピローマウイルスに長期間、感染し続けることで引き起こされる。
「30代の発症が増えているのは、若いころに子宮頸がん検診を受けていないため。性的にアクティブな10代後半から20代で感染した人たちが、30代になって発症しているのでしょう」(菊池先生、以下同)
子宮頸がんと同じく、乳がんもまた比較的若い30代から患者が急増している。
「晩婚化による影響が指摘されています。妊娠すると女性ホルモンの分泌量や分泌期間が安定化しますが、初産年齢が遅いと、それらが安定せず異常が起きやすい。そのため乳がんが増えているのだと考えられています。子宮体がんにも、同じことがいえます。
また、妊娠は検診のきっかけになりますが、晩産化によってその機会が失われてしまうことも大きい」
日本女性の平均初婚年齢は上昇を続け、'15年で29・4歳、初産の年齢も30・7歳となった。乳がんや子宮体がんのリスクを考えるうえで、こうしたライフスタイルの変化は切り離せない要素だという。