“血液のがん”と呼ばれる白血病を克服するためにどんな治療が必要なのか、医学博士・医学ジャーナリストの植田美津恵氏に聞いた。
「白血病を大きく分けると、慢性と急性の2つ。慢性なら薬で症状をコントロールしながら日常生活を送ることができますが、疲れやすくなるなど、細かな観察が必要な状況になります。急性なら、すぐにでも入院して抗がん剤治療などを行います。慢性なら症状が強く出ないので、池江さんはおそらく急性なのではないでしょうか」
いずれにせよ、1、2年での完治は難しいという。
「若いのですから、東京の次の五輪を目指すぐらいで考えてほしい。治っても無理すれば再発の可能性もあります。本当に残念ですが、東京はあきらめる気持ちを持っていたほうが結果的に身体にとって絶対いい」(植田氏、以下同)
女優の夏目雅子さんや歌手の本田美奈子.さんは、白血病で命を落とした。
「夏目さんはすごくしんどかったけど、無理して舞台に立って、ある日、突然倒れてしまった。池江さんはコーチなどたくさんのスタッフの目があったから、早期発見できました。気づいてもらえる環境にあったことは、不幸中の幸いだったかもしれません」
急性だとすれば、今後は無菌室に入院して抗がん剤治療を行うと思われるが、薬が身体に合うか合わないかが回復に大きく影響するという。
「若い人は進行が早い可能性が高いので、急いで身体にマッチした薬を見つける必要があります。'16年に膨大なデータを処理できるAIが的確な診断を行って最適な薬剤を見つけて効果があったという報告がありました。今なら、最短で効果的な治療が行えるなど、前向きな状況にあります」
近所の人によると、池江は白血病公表より数日前の週末に姉と一緒に自宅へ帰ったが、その後は家族全員が戻っていないという。池江の父方の祖父母を訪ねると、インターフォン越しに答えてくれた。
「早く元気になってほしい。そう思わない家族はいないはずです」
これまでに彼女がくれた笑顔に応えるため私たちからも最大のパワーを送りたい。