うちの家族のことをある程度、調査していたんでしょうね。家庭環境とかもね。こちらの心理を読んでいたのかも。気が動転してしまって、疑うことをしませんでした。声が違うということなんか、頭に浮かびもしませんでした」

 斎藤は、被害に遭う前、特殊詐欺を扱ったバラエティー番組に出演しており、手口を把握していたはずだった。

「こんな手口で騙してきますよと、いろいろ学んだはずなんですが、何の教訓にもなっていなかったですね。

 他人事のときは、引っかかるほうも悪い、バカだなあ、なんて言えるのですが、いざ当事者になってみたら、電話を受けたら気が動転してしまって、冷静さを失ってしまうんですね。これは引っかかるよなあ、って思いましたよ。犯人のほうが一枚も二枚も上手でした」

まじめな人が危険! 詐欺専門家が指摘

 詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏は、斎藤が出演した番組に専門家として共演していた。収録当時を振り返って、

「斎藤さんの受け答えが少し危ないなぁとハラハラしました。まじめで相手の話をすごく聞いちゃう人は危ないです。疑いながらも、相手の話を最後まで聞いてしまう。そういう人が騙される傾向があります」

 斎藤は、はじめ500万円という提示に対し、「そんなお金、今すぐ用意できるわけないだろう」と、固辞した。

「この返答はもう“払う”と言っているようなものです。犯人側は、金額を下げていけば必ずどこかで払うと感じたと思います。もう、その時点で相手を疑うのではなく、同意してしまっています」(同・多田氏)

 警視庁によると、都内のオレオレ詐欺の被害者の77%が女性。また60代以上が90%だ。被害に遭わないためにはどうしたらよいのか。