広告代理店『電通』の調査によると、'18年の日本のインターネット広告費は1兆7589億円で、地上波テレビ広告費の1兆7848億円に肉迫してきているという。

“本質”が欠かせない

テレビにこだわる必要がない」と角田さんは笑い、さらにこう続ける。

「番組を制作して、それをDVDなどのコンテンツとして流通させるビジネスモデルは限界。それではテレビは生きていけない。僕は“バラエティプロデューサー”として番組はつくり続けますが、卸す先はテレビ以外にもあるわけです。

 今までは指定のお店で規定の食べ物しか選べなかったけれど、これからは番組もビュッフェのように好きな食べ物を好きなように食べられる時代になる。いかに魅力的なビュッフェをつくるかが求められるなかで、同じ店で似た味ばかりつくると消費者も飽きますよね」

 テレビの看板がなくても成立する時代。番組づくりに欠かせないものとして“本質”を挙げる。

「本当にいいものや真剣に頑張っている人など、世の中に届けるべきものをつくることが大事。今はSNSをはじめテレビ以外にも発信する装置はたくさんある。当たり前のことですが、いいものを届けられるか否か。テレビもそこに立ち戻ることができれば、また違う未来があるかもしれません」


《PROFILE》
角田陽一郎さん ◎1970年、千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。1994年、TBSテレビ入社。現在はバラエティプロデューサーとして独立し、テレビの枠に収まらないさまざまなフィールドで活躍。『運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたったひとつの武器(あさ出版)など著書多数』