日本が牽引する部分、さらに開拓できる部分
Twitterのグローバルでの月間ユーザー数は3億2100万人だが、その中で日本のユーザー数は先述の通り4500万人となっており、日本のTwitterにおける勢力の大きさがうかがえる。Twitterは2018年に通期で黒字化を達成したが、日本が真っ先に黒字化して全体の収益を押し上げてきた経緯がある。笹本氏によると、収益面では日本は17%を占める。
「Twitter本社からも、日本市場への興味関心は非常に高い状態です。利用者の動向では、なぜこんなに日本で利用されているのか。またビジネス面ではなぜ収益が伸び始めたのか。その答えは、スマートフォンで過ごす時間は圧倒的に長くなる中で、『スマホのマスメディア』になれたことはありがたい点です。滞在時間、滞在回数が多いところに広告が集まりますが、この2~3年の間に非常に加速した、という印象です」(笹本氏)
Twitterは、日本のユーザーの先進性を認識しているという。例えば検索なども、世界に比べて日本の方が活発に活用されているし、災害対策などでも進んでいる。日本のユーザーの利用方法やニーズは、比較的早く実装されることが多いというのだ。例えばツイートを保存する機能も、日本のユーザーが「いいね」をブックマーク代わりに使っていたことから実装されたという。
世界的に注目される成長を遂げているが、笹本氏はまだまだ伸びると野心的だ。それはTwitterの企業側、メディア側の活用度合いが、アメリカに比べてまだ消極的だからだ。
「アメリカでは、記者がTwitterアカウントを持ち、画面に個人のアカウントが表示されて視聴者に直接ニュースを届けるようになりました。日本でも、Financial Timesを買収した日本経済新聞が積極的に取り組んでおり、記者の目線が出てくるようになりました。日本のメディアでも、記者がメディアになっていくようになるでしょう。
日本のメディア対応はこの1年、特に力を入れており、Twitterへのご理解の広がりも体験しています。テレビと相性がよく、視聴者との距離感を縮める役割があると思います」(笹本氏)
ビジネス面での成長性を維持している日本におけるTwitterだが、一方でさまざまな問題も起きている。例えばヘイトスピーチの問題や、自殺願望の投稿、いわゆる「バイトテロ」のように、Twitterを使う個人や企業が恐れを抱く場面も珍しくなくなった。特に今年は夏に選挙があり、Twitterのネイティブ世代である18歳も選挙活動や投票にやってくる。また2020年のオリンピックも控える。これらの問題の解決の糸口について聞いた。
「基本的にはTwitterのポリシーが基準になります。その一方で、場としての健全性を維持することも重要です。例えば2年前の座間の事件で、自殺願望者の声をどうするか議論になりました。そうした声を閉ざすこともできますが、より適切な人に届ける方法を考えることも対策になります。
自殺関連のキーワードの検出(キーワードの発見や通報を受けると支援団体を紹介するという対応)は、日本が世界に先駆けて行うようにしました。世の中のいい部分も悪い部分も投影しているのがTwitterの現在といえます。そこに注目してサービスを進化させていく意味で、日本に注目しているのです」(笹本氏)