「すごく雑な言い方なんですが、“通りすがり”ですね。テレビってそんなに真剣に見ませんよね。食べながら、しゃべりながら、仕事しながら。僕もそんな“通りすがり”のスタンスで見ている。
でも、その中でも頭に残る“残像”があって、この人は髪の毛がチリチリしてる、声がハスキー、太っているやせている、背が高い、大勢いる、5人組だなとか。その“残像”こそが僕がやってること。
だから僕の中では、河村隆一さんは寝っ転がってる。平井堅さんは手で背の高さをずっと測っている(笑)。ノリでいけば、そんな感じなんですよ」
似てないけど、なんか似てる
自らを「永遠のミーハー」と言う。芸能のみならず、美味しいお店、おしゃれなインテリア、ファッション……何もかもに興味がある。「興味」からスタートする彼の芸は、表面的な「似てる」や「うまい」を軽々と超えていく。
「例えば、武田鉄矢さんのものまねといえば、髪をかきあげて「コラ〜」ってやつでしょ(笑)。でも僕は1回もやったことない。だって武田さんは年齢を重ねるごとに、どんどん変わっているから。
今のものまねタレントたちは誰かがやった武田さんをマネしてやるから、ウソの武田さんになってしまう。
美空ひばりさんのものまねでも、ひばりさんのいちばん大事な日本舞踊の動きは誰もやらない。声を似せて、ただ歌っているだけ。
でも僕は、イントロから首をスッと引いてクッて傾ける。ひばりさんならではの日本舞踊の動きをやるから、ひばりさんが好きな方には“わかってる!”って思っていただけて、でもそのあとふざけるから、笑いも生まれる。
ただ歌が似ているものまねは3回見たら“似てるけど、なんか違う”ってなる。だけど僕のものまねは声が似てなくても“似てないけど、なんか似てるよね”ってなる」
自分のものまねは「似せるのは3割。あとの7割は、別の生き物(笑)」と分析する。思い切って、ものまねがうまいと思われたいか、聞いてみた。
「うまいと思われたってしょうがないじゃない(笑)」