天使のようなオーラが出ていた

 愛はその書き方について、こんな極意を語る。

「大切なことはワクワクする楽しいことをリストアップすること。最初は25個くらいしか書けませんでしたが、自分の今の生活を見直してだんだんハードルを下げ、ひとりの女性としての夢を細かいことまで書いていきました。いずれも現役時代には思い浮かばなかったことばかり(笑)」

 結婚、出産から始まる愛の「ウィッシュリスト」は、「大学院に行く」「本を出版」「出版した本をもとに講演」「天職と思える仕事を45歳までに見つける」といった人生の目標から、「マラソン完走」「富士山に登る」といったチャレンジもの、「和食器を買う」「陶芸」「ゆずのライブに行く」といった趣味の世界に至るまで実にさまざま。興味をなくしたものは、リストから消去。そのつど新しいものを加え、愛の「ウィッシュリスト」は現在170個あまり。

「達成率は5割。『結婚10周年にみんなを集めてハワイでパーティーする』とか、今後の夢や老後のプランなどもありますから、かなりの達成率ではないでしょうか」

 リストを書き始めた34歳当時、リストの1番目に書いたのが「結婚」だった。

 その相手との出会いは、現役引退からわずか2週間後にやってきた。

「ゴルフのプロアマ大会でプロゴルファーの石川遼さんとコースを回らせていただく機会があり、ゴルフのスキルを上げるために紹介してもらったのが彼でした」

 愛の夫となる6歳年下の杉山走さんは、ケニアのナイロビで生まれ育ち、アメリカの大学を卒業。

 アメリカを拠点にプロゴルファーとして2年間ツアーを回り引退。その後プロゴルファーのマネージャーとして日本を訪れた際、愛のコーチを引き受けた。

 ゴルフ練習場での初めての出会いを、走さんは今でもハッキリと覚えている。

「初めて会う愛は天使のようなオーラが出ていて、すごく綺麗な人、なんて素敵な人、なんて一緒にいて楽しい人。まさにひと目惚れでした……(笑)」

 愛自身もレッスンは楽しく、優しそうな好青年の走さんに好印象を持った。ゴルフや食事を通して、お互いを知っていく中で「この人となら楽しいライフを過ごすことができそう」と、早い段階で感じていた。

 そんな2人が入籍したのは2年後の2011年11月。

 最後まで結婚に慎重だったのは愛の母・芙沙子さんである。愛は、走さんの人柄のよさを知ってもらうために、ファミリーゴルフ作戦を毎月決行。また走さん自身も結婚のハードルを越えるために積極的に芙沙子さんとのコミュニケーションを図った。

 やがて芙沙子さんの心にも微妙な変化が訪れる。

「ご両親は愛情たっぷりに走君を育ててこられました。たくさん愛情を受けて育った人は、パートナーにも愛情をたっぷり注げるはず。そう思うようになりました」

《愛にはこの人しかいないんじゃないかしら》

 そんなメールが母から届いたときは、うれしくて涙をこぼしたという。『ウィッシュリスト』の1番目に書いた“家族にも、友人にも祝福される結婚”が叶った瞬間だった。