ところが指原は、自身の卒業コンサートで、「どんなときも守ってくれて本当にありがとう」と感謝したうえで、ファンに次のように伝えたのである。それも実にうまい表現で。

「これから先、ほかのアイドルを好きになることがあると思います。元々私を応援してくれた人として恥ずかしくない行動を取ってね。アイドルにやさしくしてね。意地悪なこととか説教しちゃうようなことはしないでね」

 つまり、やさしくない人、意地悪な人、説教をする人がファンにいるということ。

 その一部が暴走したために、NGT48の問題はぼっ発し、ファン離れやスポンサー離れを招くほど尾を引いているのである。なかなか収束できないNGT48問題の原因にファンの振る舞いがあったことを、指原はやんわりと指摘したのだ。

 AKB48関連本の編集者から以前、「アイドルには時として、“ファン切り”が必要」と聞いたことがある。大切なファンと大切じゃないファンの選別。

 今、NGT48に必要なことは“自分たちの解党的出直し”と同時に、“ファンの解散的出直し”である。

 やらかすファンを切り捨てる勇気が、メンバーや「運営」にあるのか。暴行事件後、「運営」は、逮捕された男性2人が所属するファングループがその後、握手会、イベント等に入場できない“出入り禁止処分”にした、と一部スポーツ紙で報じられた。入場の際に顔認証が導入されるようになった今、“ファン切り”の実行は容易になった。

 ジャニーズ事務所でも、同様の苦言を呈するアイドルグループのメンバーはいる。

 関ジャニ∞の大倉忠義(33)は、突然、手を繋いでくる、カバンに勝手にモノを入れる、執拗な追いかけ行為など、一部のファンによる行動に悩み、会員サイトのブログで「身勝手な行動が精神的に辛いです」「ストーカー行為ではないのか」「もう、ストレス以外のなにものでもない」と、苦しい思いを吐露した。

 また、ファンの暴走によって電車が遅延する騒動に発展したことを受け、当事者のHey!Say!JUMPの八乙女光(28)も「マナーの悪い人が多かったです」「どうすれば伝わるのかな」と、ファンの行動に釘を刺している。

 ロック歌手の矢沢永吉(69)は昨年、一部ファンの“出禁”を公式サイトで公表した。

「お客様は神様です」と言われたのは、昭和の昔のおとぎ話。

「“ファン切り”にあわない、アイドルの味方になってくれるいい子でいてね」。それが指原がファンに伝えたかった本音ではないだろうか。

<取材・文/薮入うらら>