18歳で援助交際

 兄が母に手をあげる姿を見て、泣きながら止めた経験もある。兄と父が大きな声を出しながらケンカをすると、関係のないゆみこ自身がビクビクしていた。

 近所迷惑だと注意をしようと2人に近づいたとき、足が震えたのを覚えている。父はアルコール依存症で暴力的な振る舞いも多かったからだ。自傷行為が始まったのは、そんな状況の中だった。

「中学2年以前は、特に自傷はしていませんでしたが、常に漠然とした不安がありました。それが思春期になると、いろいろな面が見えてきたんです。人間関係の嫌な部分、学校でも家でも周りについていけない自分。そこから“消えたい”と思うようになってしまったんです」

 援助交際を始めたのは18歳のときだ。

 チャットで知り合った人と会い、車の助手席に乗ると、相手の男性がゆみこの足を触ってきた。性的な嫌悪感があったため、全身が震える。それを見た男性は手を止め、地元まで引き返してくれたという。

「その男性がいい人だったのか、それ以上、触ってくることはなく『帰ろう』と言ってくれました。別れ際に『いくら欲しい?』と聞かれて、『5万』と答えたら、『受け取って』と、1万円札を5枚、手渡されたんです」

 その後、うつ病を発症し、自殺を考える日々に突入する。自殺系の掲示板にアクセスしたこともあった。

(出会い系などで)いろんな人に出会っている自分も嫌になったんです。うつが悪化し、生きているのも嫌になった。掲示板を見ていると、集団自殺の誘いが多かったんですが、誰かと出会うのが嫌になっていたのでアクセスしたのはそのときだけ。そのあとは、自傷行為をしている人たちが集まる掲示板に出入りし、なぜか他人を励ますこともあり、自殺や自傷を止める側に回っていたこともあります。でも、自分は今でも死にたい……