年の差婚で相手の考え方を見抜く
4つの心理学的ポイント

「一方で磯野さんは、本音では離婚したくはなかったでしょう。しかし、彼女なりの理性で若いパートナーの将来を重視したのだと思います。発達心理学者であるエリクソンの理論では、磯野さんの年齢は、ジェネラティビティーが発達課題、つまり、こなすべき命題とされています」

 ジェネラティビティーとはエリクソンによる造語で、「次世代育成能力」などと訳されます。子どもを養育したり、職場の後進を育成したり、自身が属する共同体において後の世代に貢献することだとか。

 この世代の人は、自分の時間や労力を、子どもや自分より年下の者に使うことで生きがいを感じるという人も多いそうです。

「自分の子どもを産むことはかなわないと判断した磯野さんが、男性のために、悲しくも理性的な決断をし、結婚から卒業したことは、彼女なりの発達課題の達成ともいえるでしょう」

 年齢差のある結婚では、しばしば今回のふたりのような悲しい事態を耳にします。未来の心変わりを未然に防ぐのは難しいかもしれませんが、価値観や考え方の違いが生まれやすい“年の差婚”の場合、どのような視点で相手を見極めればいいのか。藤井先生によると、以下の4ポイントを注視してほしいといいます。

【年齢差を乗り越えて、よい結婚相手を選ぶポイント】
(1)クルマの運転の仕方
(2)酒に酔ったときの言動
(3)家族との接し方
(4)物の扱い方

「これらのポイントについて、自分の価値観と照らし合わせて違和感がないか観察してみるとよいでしょう。理性の完成度と相手の本質を、見抜くことができるはずです」

 それでも長い結婚生活を通せば、気持ちはすれ違ってしまったり、最初は見えなかった価値観の相違が生まれるもの。願わくばそれらを乗り越えてもらいたいものですが、今回のふたりを含め、離婚という選択をしたとしても、その先の人生で幸せをつかんでもらいたいものですね。

<今回のセキララアナリスト>

藤井靖先生
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藤井靖先生
明星大心理学部准教授、臨床心理士。昭和54年、秋田県生まれ。早稲田大大学院人間科学研究科博士後期課程修了。同大人間科学学術院助教などを経て現職。専門は臨床心理学、臨床ストレス科学、認知行動療法。心理相談センターで日常生活のさまざまな問題、疾患に対してカウンセリングを行なっているほか、スクールカウンセラーや、心療内科、精神科で心理療法(主に認知行動療法)を担当する心理士なども務める。訳共著に『過敏性腸症候群の認知行動療法』(星和書店)。【https://ironna.jp/blogger/498