知識を生かしたカウンセリングで夫をサポート
「私は大学時代、健康カウンセリングや心理学の勉強をしていたんです。当時の勉強が今、生かせているのはラッキーですね」
その最大の成果といえるのが、前回のワールドカップでの日本代表選出。実力は十分にあり、努力も人一倍、重ねていたにもかかわらず、なかなか日本代表に選ばれずにいた山田選手の突破口となったのは、ローラさんのアドバイスだった。
「日本人のいいところであり悪いところでもあると思うんですが、一生懸命、働いても大変だと口にしないのが美、みたいな意識がありません? 彼もそうで。でも当時はオーストラリア人の監督だったので、そうした日本人特有の感覚は通用しません。陰の努力があるからできていることも、すぐできるように見えてしまうから、評価につながらないのかなと思ったんです」
そこでローラさんが提案したのは、より積極的な監督へのアピール。
練習中の振る舞いだけでなく、毎試合、必ず自身の成果報告や改善点の相談などを綴ったメールを作成。その文章をローラさんが英語に直し、毎週、監督に送り続けた。その熱意が当時のエディ監督に伝わり、見事、日本代表の座をゲット !
そんな経緯からも山田選手にとってローラさんは公私ともに欠かせない存在なのは間違いなさそうだが、山田家にはさらに、双子の育児という大仕事がある。常に夫婦で力を合わせて……とはいかない環境については、どうとらえているのか?
「ラグビーをできる期間は人生の中でほんの少し。だから、今しかできないことは今やってほしいんです。ただ、彼は彼で、私が家でひとりで育児をするのはとても心配らしくて。話し合った結果、私と両親とで、ハワイに引っ越すことにしました。
遠くて会えないのは寂しいけれど、彼もそのほうが安心してラグビーができると言っていて。ときどき、周囲の方から“一緒に住んでいなくて結婚した意味あるの?”と、心配されることもありますが、私たちにはこれがベストな形。家族のあり方はいろいろあるなと思います」