5月10日、保育や幼児教育、大学などの高等教育の無償化に関する2つの法案が国会で成立した。「改正子ども・子育て支援法」によって、10月から幼児教育・保育が無償化に。そして「大学等就学支援法」が施行される来年4月からは、低所得(住民税非課税)世帯を対象に、大学や短期大学、専門学校などが無償となる。
子育て中の家庭に重くのしかかる教育費の負担。先進国のなかでも、特に日本では突出している。OECD(経済開発協力機構)の'18年調査によれば、小学校から大学までの教育機関への公的支出の割合は、日本は加盟34か国中、最下位だった。
オール公立でも費用は約1000万円!
「なにせ、国公立大学でも入学金や学費などを合わせた初年度の納入金は約80万円。多くの子が進学する私立文系大学なら約130万円になります。理系や芸術系ならもっとかかるから大変です」
そう教えてくれたのは、教育費事情に詳しい生活経済ジャーナリストのあんびるえつこさん。
例えば、平成元年(1989年)を見てみると国公立大の初年度の納入金は約50万円ほど。デフレ続きだった平成の30年間、学費だけは値上げが続いていたわけだ。
「文部科学省などの調査によると、幼稚園入園から大学卒業までの教育費は、オール国公立ですませたとしても約1000万円かかります。例えば、幼稚園が私立、小中は公立、高校は私立、大学は私立文系という一般的によくあるコースなら、約1500万円という金額に」(あんびるさん以下同)
これでは若い夫婦が、子どもを持つことに二の足を踏むのも無理からぬこと。ますます少子化は進むばかりだ。
こうした事態を受けてスタートした無償化だが、どうやら手放しでは喜べないよう。
「一連の無償化で、経済的に助かるご家庭が出てくることは事実です。ただ、無償化の内容を詳しく見てみると、さまざまな条件があることがわかります。じっくり見て、わが家がどのくらい恩恵を受けられるのか、まずはチェックしておきましょう」