自分に合った奨学金制度を

 給付型の奨学金、貸与型の奨学金、教育ローンがある中、どうやって選べばいいのか、小林教授に優先順位を教えてもらった。

(1)給付型奨学金

“もらえる”タイプの代表格であるJASSOの奨学金のほか、都道府県や大学独自のものもチェック。卒業後の職業・勤務地などの条件を満たせば、返済不要になるものもある。

(2)貸与型奨学金

 最初にJASSOの無利子のものを検討、次に利子の安いものを選んで利用していく。こちらも自治体や学校独自のものも探してみよう。

「大学によっては、入試を受ける前に申し込める奨学金制度もあります。もちろん、合格しなくては利用できませんが、志望校にそうした制度がないか確認して、あらかじめ手続きしておきましょう」

(3)国の教育ローン

 入学金や下宿費用などは入学前に用意しておかなければならない。これら手続きまでに貯金ができていない場合、教育ローンの利用を検討してもいいだろう。というのも、奨学金は、入学後に月割で受け取るから手続きに間に合わないのだ。国の教育ローンなら、金利が約1・7%、一括で350万円まで借りることができる。

 なお、ローン審査には日数がかかるので、お金が必要になる時期の2〜3か月前に申し込みだけはすませておきたい。国の教育ローンの審査が通らなかった場合は、民間のローンが次の候補となるだろう。

「大切なのは、奨学金も教育ローンも、返済条件などを子どもとしっかり確認し、納得のうえで申し込むこと。奨学金をめぐっては、返済できず自己破産する人が出るなど社会問題になっていますが、そうした延滞者の3分の1が、そもそも返済義務があることさえ知らずに奨学金を利用していた、ということがわかっています。

 JASSOや国の教育ローンのサイトには、返済シミュレーションができるコーナーもあるので、検討する際に使ってみてください」

 現在、奨学金制度は国内で3000種ほどあるという。その中から少しでも有利なものを選べるよう、受験前から親子で情報収集しておきたい。

「返済で苦労しないよう、JASSOの貸与型奨学金の無利子タイプには、卒業後の所得に応じて月々の返済額が決まる“所得連動型”というものもあります。また所得が減ったり病気などで困ったときは返済期限を延ばして月々の返済額を減らす制度もあります。こうした情報も、公式サイトなどでしっかり確認しておきましょう」