文科省の2015年度調査によると、全国の国公私立の小学校のうちスクールバスを運用しているのは3134校で全体の15・7%にあたる。同様に中学は1590校(15・5%)、幼稚園は5638校(55・4%)。小・中の6・3~6・5校に1校はバスを運用している。
同省が'08年にまとめた「諸外国におけるスクールバス活用状況等調査報告概要」によると、米国では幼稚園から高校まで児童・生徒の約半数がスクールバスを利用しているほか、ドイツでは最も事故が少ない安全な通学手段として多数が利用している。
カリタス小は3台のスクールバスで毎朝8便を運行していた。事件に巻き込まれたのは6番目のバス。最寄り駅からバス停まで教職員が付き添い、“見守りの空白地帯”を封じていたのに事件は起こってしまった。
前出の宮田さんは「この事件には2つの想定外があった」として次のように話す。
「子どもの見守り活動は、主に不審者による声かけや連れ去り事案などを想定した抑止力であって、今回のようなテロ的事件を想定したものではありません。スクールバスの待機・乗降時のリスクも想定していませんでした。だからといって、教職員や保護者、地域住民が身を挺してガードマン役まで務めるのはやりすぎ。テロ対策要員ではありませんし、警備のことは民間警備員や警察官に任せるべきです。制服姿の警備員が目に入れば犯罪抑止が期待できます。役割分担が大事です」
わたしたちは、どう子どもを守っていくべきか真剣に向き合わないといけないーー。