子どもたちの心に
永遠に残っていたい

 NESMITHさんが22代目となるフック船長は、ピーターパンと違って大人ながら、中身は子どものまま。その子どもっぽさには共感しまくりなのだとか。

「フックはすごく不器用な、大人になれない男。子どもっぽく見られたくないと必死なんですけど、絶対的に自分のことをわかってくれている部下のスミーには素直です。“いま俺、大丈夫だったか?”と言うと“何を言ってるんですか、船長!”みたいなやりとりがあってね。その二面性も面白い。

 僕自身の中にある子どもっぽさをすごく活かせちゃうなと思ってます(笑)。脚本を読んでいても“わかるなー、そういうとこでなんか強がっちゃうんだよねー”とか、すごく共感しちゃうんですよ(笑)

 同時に、子ども心の大切さも痛感しているそう。

「僕の中身も中2くらいで止まって、ずーっとそのまま(笑)。でもそれって、大事な部分でもあると思っているんです。

 最近、誕生日を迎えられたHIROさんも“想像していた50歳といまの自分はだいぶ違う”っておっしゃっていましたが、HIROさんってすごく面白いアイデアをいっぱい持っていらっしゃる。それが、子ども心や無邪気な思いがないと浮かばないような思いつきだったりして、“HIROさん、すげーな!”と思わされるんですよ。

 だから、見に来てくれる大人のお客さんにも“子ども心ってずっとなくしちゃいけない、大事なものなんだ”ということを感じてほしいですね」

 ナマモノ大好き人間としては、子どもたちが返してくるナマの反応も楽しみ?

もちろん! フックをやるうえで最大の目標は“子どもたちにコワがられたい”ということ。彼にも彼なりの正義があるから悪ではないんですが、フックという存在を子どもたちに焼きつけたいです。“憎めないよねー”という愛嬌も感じてもらいつつ、恐怖心を抱いたり、無邪気で弱い部分を感じたり。人間味のあるこのキャラクターをしっかり記憶に残して、永遠に忘れられない存在にしたいな」

 この舞台の成果を「将来的にはEXILEの糧にしたい」と、新たな夢を語るNESMITHさん。

「焦りを感じた時期もありましたが“来るべきときに、来るべきものは絶対に来る”と信じてきました。マイペースなんですね。焦って前のめりでやっちゃったときの失敗のほうが怖いから。で、ミュージカルという夢が実現したって言ったとき、メンバーは“ねっさん、ヤバいじゃん”とか“ティンカーベル役じゃないの!?”とか(笑)、温かい反応を返してくれました。

 みんなに見に来てもらって“ねっさん、マジでヤバい”と思わせたいですね(笑)。そして僕がこれをやることで、自社LDHにミュージカルという道があるんだということを認識してもらえたら。人材的にはスペシャリストがそろっているので、自分たちでミュージカルが作れたら最高ですね!」

<プロフィール> えぐざいる・ねすみす◎1983年8月1日、熊本県生まれ。’01年、柏原収史とのユニットSTEELとして歌手デビューし、’06年、LDHよりシングル『追伸』でソロデビュー。’07年にJ Soul Brothersとして活動をスタート、’09年からEXILEに加入。’12年からはTHE SECOND from EXILE(現 EXILE THE SECOND)のメンバーとしても活躍中。俳優としては’03年、映画『ホテル・ハイビスカス』にけんじにぃにぃ役で出演。舞台はLDH公演『DANCE EARTH~願い~』(’10)、『DANCE EARTH~生命の鼓動~』(’13)に出演している。

ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』
青山メインランド ファンタジースペシャル
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』

 いつまでも子どものままでいられる国、ネバーランドに住む永遠の少年、ピーターパンと、ダーリング家の3人姉弟が繰り広げる冒険ファンタジー。ジェームズ・M・バリによる原作のブロードウェイミュージカル版。日本初演は1981年に榊原郁恵のピーターパン役で幕を開け、フライングシーンなどが大評判に。以来、夏の恒例公演として人気を博し、39年目の今年はピーターパン役を10代目の吉柳咲良が演じ、演出を藤田俊太郎が務める。7月21日~28日 彩の国さいたま芸術劇場大ホール、8月2日~5日 カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)ホール。名古屋、大阪、富山公演もあり。詳しい情報は公式HPへ(https://horipro-stage.jp/stage/peterpan/

<取材・文/若林ゆり>