共産党の現職で党中央委員の吉良佳子氏(36)は、ブラック企業対策の実績をアピール。国会でこの問題を追及し、厚労省に悪質な企業名を公表させることに成功した。労働基準法違反の企業は400社以上にのぼり、一定の歯止めをかけることができた。
街頭演説では性的少数者(LGBTなど)問題に触れて、自民党への怒りを爆発させた。
「自民党議員が『LGBTは生産性がない』などと差別発言をしましたが、子どもを産むとか、誰を好きになるとかは個人の問題。政治家に口出しされる筋合いはない。自分の人生は自分で決める、それぞれの人生を支える政治こそが必要。夫婦別姓や同性婚を認める法律を野党は国会に提出しています。反対しているのは安倍首相、自民党、公明党。多様な生き方を認めようとしない政権に日本の未来を託すわけにはいかない」(5日、京成上野駅近く)
自身は3歳児の母親だが、「誰でも幸せに暮らせる社会を願っていこうではありませんか」と訴えた。
菅官房長官がクギを刺す理由
自民党の現職で元五輪相の丸川珠代氏(48)は公示日の4日、建設中の新国立競技場近くに構えた選挙事務所前で出陣式。陣営スタッフとそろえた赤いポロシャツ姿で選挙カーの上に立ち、集まった支持者に向けてマイクを握った。
「オリンピック・パラリンピックは、子どもたちにとっても誇りを持て、日本人でよかった、日本って素晴らしいと思ってもらえる大会にしたい。高齢化が進んでもなお安定した社会を築き、文化が豊かで平和を愛する国だということを、大会を通じて世界の国に伝えたい」
応援に駆けつけた菅義偉官房長官は「過去12年間の数々の実績、知名度で優位な戦いをしている。そんなときほど気を引き締めて戦わなければいけない」とクギを刺した。
それもそのはず。この東京選挙区の情勢は読みにくいとされているからだ。もともと投票行動の読めない無党派層が多いうえ、れいわ新選組代表の現職・山本太郎氏(44)が想定外の“爆弾”を見舞った。
山本氏は前回2013年選挙で組織票もなく5議席中4位の得票でサプライズ当選しながら、今回は東京選挙区をあっさり後進に譲って比例代表で出馬。そこでも優先的に当選する「特定枠」に重度障害者の2候補を立て、一気に党勢拡大を狙う。カンパで2億3000万円以上集めるなど追い風は強烈だ。