第2の事件後、部屋に入った管理人
'12年6月20日、容疑者は第2の事件を起こす。
「茨城県内のコンビニで店員男性に包丁を突きつけ金を奪いました。翌日出頭し、懲役3年6か月の実刑判決を受けています」(前出の記者)
元管理人は事件前日の“異変”を明かす。
「前日の夜、彼はハンマーで壁に穴をあけて壊したんです。奇声も激しくてほかの住人から騒音の報告がありました。そして部屋の鍵を管理事務所のポストに入れたのち、コンビニを襲撃したので、計画的犯行だったのでしょうね。
容疑者の逮捕後、荷物を処分するために部屋に入ったのですが、あまりの汚さに驚きました。すえたにおいのする部屋で万年床にスープが入ったままのカップ麺、破壊された真っ赤なパソコン、ガラス戸は割れ、自暴自棄になった様子が表れていました」
元管理人は留置所に面会に行ったというが、犯行前日に部屋で大暴れした人物とは思えない態度だったという。
「巨体をかがめて面会室に入ってきました。1か月の家賃は3万円弱で入居中の3年半、ほとんど滞納しているので100万円近くを請求したが支払い能力もないし、実母にも請求できないので延滞金含め約200万円の未納分がそのまま残っています」
栃木県の刑務所に服役したのち、埼玉県内の更生施設を経て、放火事件当時、住んでいた見沼区内のアパートへ移り住む。
そこでのトラブルは、前号でも報じたとおり。
そして7月18日、平成以降最悪の放火事件を起こしたのだ。
茨城県内に住む実母は再婚し、幸せな生活を送っているが、残された3人の子どもたちについて、近所の住民に悲痛な思いを打ち明けている。
「本当は3人の子どもも夫も手放したくなかった。子どもたちを見捨てたわけじゃない。そばに置いておきたかった」
容疑者が母親からの愛を事件前に感じることができていたら─。