従業員たちを“心地よく”振り回す仮名子
主人公の黒須仮名子を演じるのは石原さとみ。仮名子は“心ゆくままにお酒と食事を楽しみたい”という自分の欲望のための店『ロワン・ディシー』をオープンさせた。彼女がスカウトした従業員は、笑顔が苦手な上級ウエーター(福士蒼汰)、物覚えが悪いウエーターアシスタント(志尊淳)、ソムリエの資格を取りたい一心で働く元銀行員(岸部一徳)ら、ちょっと難ありな個性派ぞろい。
「仮名子は自由奔放で、相手のためを思ったやさしい言葉をかけたりはしない。それでも憎めない独特のチャーミングさがあるので、難しい役だと思います。
でも、演技力がありコメディエンヌとしてのセンスもいい石原さんが、従業員たちを心地よく振り回す仮名子を好演してくださっています。“ロワン・ディシー”メンバーのキャスティングは、福士さんはじめ原作の魅力的なキャラクターのイメージに近い方々にオファーしました」
従業員たちは仮名子に翻弄され、さまざまなトラブルに巻き込まれつつも、団結して必死に問題を解決しようと奮闘していく。
「レストランが舞台というと、経営を立て直したり、事情を抱えた従業員たちが成長していく物語かと思われがちですが、今作は違います。彼らの欠点は欠点のままですが、自分に欠けている部分を補い合える仲間との出会いで、居心地のいい場所として生き生きと働いていきます」
キーワードになっているのは、劇中で漫画のように表現される“諦観”。
「今作の根底に込めたメッセージです。あれもこれも頑張らなきゃ、と思うと心が疲れてしまいます。ほどよくあきらめることは、決してマイナスではなく、次へとつながっていくのではないでしょうか」
“諦観”の文字を登場人物と合わせて映したり、それぞれの心の声を幻影で言わせたりと、映像ならではの手法で表現している。