連日うだるような暑さが続く中、テレビ業界で働く人はあることに汗を流している。
「新番組の企画です。この時期は、秋の改編を迎えるにあたって、各テレビ局から制作会社に企画案の募集がかけられるんです。ただ、今回は“ジャニーズと吉本興業のタレントをMCにした企画はなるべく避けるように”というお達しが出されたそうなんですよ」(制作会社関係者)
ジャニーズと吉本といえば、ここ最近、世間を騒がせてきた。
テレビ局は消極的に
「ジャニーズは、公正取引委員会から元SMAPの3人をテレビに出演させないように圧力をかけた疑いで注意を受けたという報道があり、吉本は闇営業問題からのお家騒動がありました。世間的にマイナスのイメージがついてしまった彼らを起用することに消極的になっているようです。また、いまはどのテレビ局も予算が少ないので、大物のタレントが使いにくくなっていることも関係しているのでしょう」(同・制作会社関係者)
だが、ジャニーズと吉本のタレントをテレビで見ない日はない。多くの番組に出演している彼らを使わない企画は難しそうに思えるが……。
「必然的に、お茶の間になじみのあるキャスティングになります。制作会社からあがってくる企画書には、坂上忍さんやマツコ・デラックスさん、サンドウィッチマンなど、毎日テレビで見るタレントばかりで目新しさがないんですよ」(テレビ局関係者)
逆風が吹き荒れる中、吉本の芸人でオファーが絶えなかったコンビがいた。
「千鳥と霜降り明星です。特に、千鳥は視聴者からの好感度も高く、彼らが出演する番組の評判もよいですからね。“2人は別”ということなのかもしれません」(前出・制作会社関係者)
千鳥は、破天荒なキャラクターの大悟と鋭いツッコミが持ち味のノブのコンビ芸人。『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)をはじめ、現在14本もレギュラー番組を持っている。
なぜ、彼らは高く評価されているのか。お笑い評論家のラリー遠田さんは、“王道のおもしろさ”だと指摘する。
「誰かにいじられたり、キャラクターがおもしろいのではなく、彼らの言うこと、やることがおもしろいという王道の芸人です。ダウンタウンもそのタイプだと思いますが、ボケとツッコミの両方で笑いをとれるうえに、ポジションが入れ替わってもおもしろいです。漫才のネタやお笑いの企画、トークやロケなど、どの分野でも笑いをとれる強みがあります」
“すべらない力”を持つ千鳥だが、テレビ局はコンビで使いたがる傾向にある。
「千鳥も霜降り明星も、コンビでいるときにおもしろい。さらに霜降り明星はお笑いに対してまじめでフレッシュなイメージがあります。昨今の闇営業問題もあり、いまはブラックなイメージがある人は敬遠されます。サンドウィッチマンなどクリーンなイメージの強い人のほうが仕事は増えるでしょう」(ラリーさん)
“クセのすごさ”の前には、逆風も関係ない!?