9月4日に、創始者ジャニー喜多川氏のお別れ会を東京ドームで開催するジャニーズ事務所が、メディアに対して新たな“制限撤廃”を通知してきた。

 先日、その文書はファクスで届けられた。そのタイトルは【電子書籍における肖像の取り扱いに関するご案内】

 ベテラン芸能記者が、これまでのいきさつを説明する。

「これまでジャニーズは、ウェブでの写真掲載に神経をとがらせてきた。もともとは使用禁止だったが、2018年1月に条件つきながら緩和した」

 以来、イベント取材、ライブ取材で撮影した写真がウェブ媒体で使えるようになったが、全面的に使えるものではなかった。

「雑誌の表紙に関してはネット上に出してもOKになったが、グラビアやニュース記事など中面の写真の使用は禁止され、従順なメディアはそれに従っていました。今回の“制限撤廃”によって、雑誌の中面でもジャニーズタレントの写真使用が配信期間の限定はあるものの、転載OKになったのです」(前出・ベテラン芸能記者)

 ジャニーズのその姿勢に不満の声が上がっていたと、ウェブサイトデスクが明かす。

「dマガジンなど丸ごと雑誌を読めるウェブ媒体がありますが、ジャニーズの写真だけは伏せ字ならぬ”伏せ写真”になっていた。一般の読者は、ジャニーズの事情なんて知りませんから、運営先に苦情が届いていたと聞きました」

それでも感じる「圧」

 加えてジャニーズの方向転換に、最近の世の中の流れが影響していると見るのは、テレビ情報番組の芸能デスクだ。

「元SMAPのメンバーが事務所退所後にテレビ番組に出られないことを問題視した公取委が、ジャニーズ事務所を調査し、注意したことが影響している。ジャニーズだけが特別!と世間に見られることに、敏感になっているのは確かです。今回の写真解禁も、“ジャニーズの言い分をメディアが聞いて配慮している”という構図を払拭(ふっしょく)するための狙いもあると思いますよ

 何はともあれ、一歩前進と見える今回のジャニーズのお触れだが、前出・ウェブサイトデスクの見方は、全面的に賛成というわけではない。

文書には新たな【レギュレーション】と表記されている。新たなルールでいいじゃないですか。それを法的な意味合いが強いレギュレーションという言葉を使うあたりがもう“圧”ですよ。ウェブ媒体より紙媒体が上位ととらえている古い体質が見え隠れする。紙媒体には、使用できる写真は何点までといった制限はつけませんからね。ウェブ媒体に対しても何の使用制限もつけないのが当たり前だと思うんですけどねぇ」

 ジャニーズの所属タレントが出演する映画や舞台の会見場で配られるペーパーには、たいてい写真は〇点までという制限が設けられている。

 条件の全面撤廃にはまだ道半ばといったところだ。

<取材・文/薮入うらら>