子どもの泣き声は暴力のシグナル
近隣住民がこうした虐待に気づいたら、即座に児相や警察に通報すべきだと強調する。
「トラブルを恐れて見て見ぬふりをしますが、絶対に通報すべきです。匿名でもかまいません。また、しつけと称して虐待をやっている親もいますが、しつけとしての体罰を認めると、すべてが許される。
現在の日本では、親といえども、子どもを一発叩いただけで虐待になることは常識です。通報はためらわないでほしいです」(同)
さらに児相の役割の問題がある。結愛ちゃんの祖父も、
「いちばん悪いのは当事者の両親やいうことは、わしだって認めとる。だけど、そういうことがあっても、児相がきちんと仕事を果たしたら、こんなことは起こらなかったんや。
児相のためにわれわれは税金も払っとるんやで。それが役割も果たさんと、こういう事件が起きたら、そこの児相の職員はクビになるんが当然でしょう。民間の会社でも責任はとってるんやから」
先の山脇さんもこう指摘する。
「まず、香川の児相は2度にわたり保護したのに、2度とも家に戻したというのが、ありえないこと。それから、通常、児相の引き継ぎは、書類でやる。経過報告が長いときは、その書類は数十枚から数百枚にもなります。それをきちんと読んでいたのかどうか。品川の児相が“緊急とは受け止めていなかった”と言っているのがおかしい」
児相の利権問題の著書もある一橋大学の水岡不二雄名誉教授(経済学)は、次のような児相の特徴を挙げる。
「児相と警察の連携が悪いのは、日本が縦割り社会の傾向があり、お互いの縄張り意識があるからです。本質的に、今回は凶悪事件で、暴行、傷害といった刑事事件なので、警察がすぐに介入すればいいはずです。
しかし、子どもの虐待問題は厚生労働省の児相の分野なので、警察は消極的で、連携も悪い」
秋には雄大被告の公判も始まることになっている。
ふたりは、結愛ちゃんの死をどう受けとめどうやって罪を償っていくのだろうか。