近隣住民が感じていた“違和感”
しかし、最近は不安を口にすることがあったという。
「“俺が死んだら妻はどうなるんだ”と言っていました。最近、ちょっとやせてきた木村さんに“大丈夫?”って聞いたら“あれ(妻)のほうが心配。俺は大丈夫”って。奥さんを愛しすぎていたから事件を起こしたのかもと、みんなで話しています」
と古くからの知人。冨美子さんの健康状態についても、
「1、2年前から腎臓が悪かったそうです。透析にならないよう食事と運動で気をつけていました。食事も2人で作って。朝晩2人で散歩をしていましたね」
冨美子さんに関する証言も好意的なものばかり。
「とてもいい方でしたよ。お花が好きで、自宅に咲いた花をよく近所の人に分けてあげていました」(古参住民)
いつも一緒にいる夫婦の姿が近所の人の記憶に残っている中、最近は少し違和感を覚える場面もあったという。
「ご主人、このごろ少し変だったみたい。精神的に参っているというか」(別の近隣主婦)
事件の前日、冨美子さんと言葉を交わした住民は“前触れ”を感じていた。
「ひとりで散歩をしていたので“旦那さん、どうしたの?”って聞いたら“行きたくないって言って、寝てる”と言っていました」(近隣の住民)
木村容疑者の供述によれば「夕食時に口論になり、頭にきて殺してしまった」というが、実際に殺害に及んだのは真夜中のこと。普段は隣の部屋で寝ていたという孫はその日に限って留守だった。
事件後、近所の寺で冨美子さんの家族葬が営まれた。人柄を慕う地域の人が参列し、涙で見送ったという。