結婚はひとりよりも孤独
─『地獄のガールフレンド』は10月からFODでドラマ化、配信されますね。
小田 女の人たちの話している様子がとにかく楽しいマンガですよね。最初に読んだとき、岡崎先生の『くちびるから散弾銃』を思い出しました。
鳥飼 光栄です。実は先日、ドラマ化にあたってふと読み直したら、けっこうおもしろかった(笑)。
小田 『遅く起きた朝は…』とか『やっぱり猫が好き』みたいな感じがして、楽しい。
鳥飼 どうして3巻でやめちゃったんだろう。読んでいて「もっと続いて~」って(笑)。
小田 いまからでも続編を。
鳥飼 う~ん。この時代に何を描けばいいのかなって。
小田 いまって自由を求めなくなったのかもしれない。
鳥飼 うん、きっと自由がわからないんだと思う。
小田 自由すぎるとわからないのかもしれないですね。
鳥飼 これまでの人生を振り返ってみると、自由って寂しいし、責任と孤独とセットなんです。そのことをみんながなんとなく感じ取って、それならいらないって。かわりに、自由に近いAセット、Bセットを選びたいと思っているように見えるんです。
小田 ある程度、制限があるなかで自由なほうが幸せを感じるのかもしれないですね。
鳥飼 はい。私自身、結婚して“思っていたのと違う”っていう気持ちで、この1年を過ごしてますから(笑)。
私、婚活に関する取材を受けたりして、既婚者未婚者いろんな人と話して、結果なんで人は他人と生涯折り合って生きていくという難題を携えた「結婚」をしたがるのだろうかとよく考えるようになりました。
小田 僕もそれは感じてます。
鳥飼 私が焦ったのは、自分の結婚の形が思った以上に自由だったから。ほぼ別居婚で相手も私も自由に生きてるし、相手をどれくらい信頼するかも、要求するかも全部自由。
その結果、相手が怒ったり、私が不機嫌になったりする責任、放っておかれる孤独は、全部セット。これは結婚だけじゃなく、誰かと過ごすのってそういうことなんだと思う。
小田 ひとりよりも孤独。
鳥飼 とりあえず結婚したい人が多いのは、きっと自由に限界を感じているから。誰か気に入った人と一緒に住んで、ごはんを作って子どももつくってというセットが欲しいんだなぁって。
結婚がいいっていう人も、結婚なんてするもんじゃねぇっていう人も、どっちも正解なんだと思う。
小田 鳥飼さんの結婚は?
鳥飼 まあ、合格点かなぁ。最近、自分の持ち物に文句を言うのはやめようって思っているんです。また変わるかもしれないですけど。