医学的な見地から、血液クレンジングはどのようなものなのか。

「欧米では150年以上前から知られている方法ですね」

海老蔵は話題になったことで「勧めてはない」とコメント(本人のブログより)
海老蔵は話題になったことで「勧めてはない」とコメント(本人のブログより)
【写真】SNSで『血液クレンジング』を紹介する芸能人たち、すでに削除されている投稿も

 そう話すのは、新潟大学名誉教授で、医療統計の第一人者と呼ばれる医学博士の岡田正彦先生。

「いま日本で話題になっている血液クレンジングは、英語では“オゾンセラピー”と呼ばれています。欧米ではかなり昔から、例えば関節の中に菌が入った人に直接オゾンを注射して入れたり、虫歯の治療に使うといった施術がありました。

 患部に直接入れる方法と点滴で入れる方法、そしてもうひとつが血液を取り出してオゾンを濃縮したものを入れて、また戻す方法。この3種類が昔からありますね」

 岡田先生によると、血液クレンジング(オゾンセラピー)に関する研究論文は数多くあるという。たくさん研究されているということは、安全?

「論文というのは、しっかりと比較研究がなされたものでなければ信用されません。対象者を均等に2つに分け、一方には何もしない。一方には、血液クレンジングをする。それで短期的に効果があったか、長期的に見て副作用はなかったかを調べるといった、公平に分析したうえで論文を発表するのがまっとうなやり方です。ところが、オゾンセラピーに関して、そういったしっかりとした調査をもとに書かれた論文は1つもない」(岡田先生、以下同)

「細胞を殺す」恐れが

 研究とともに、欧米でも日本同様、血液クレンジングの施術は現在でもあるが、

「医療行為において、権威ある組織のトップは、FDAというアメリカ食品医薬品局です。日本でいうと厚生労働省で、ここが認めた治療法は、だいたい世界中が安心して使えます。FDAはオゾンセラピーを認可していません。しっかりした形での比較研究をやらないとデータの信憑性はありませんから、役所は認可しません。日本の厚労省も同様で、保険がききません」

 きちんとした比較研究がないにしても、効果の“アリ・ナシ”でいうとどうなのか。

「よいものでも悪いものでも、比較試験がないので、科学的には判断できない、とは言えます。しかし、血液を取り出して、オゾンを加えて元に戻す方法は、極めて危険だと思います。

 酸素原子が3つついた『O3』がオゾンになります。私自身も過酸化物質を研究してきましたが、やはりリスクがある。オゾンというのは、ひと言でいうと“殺菌剤”。酸素というのは空気中に20%程度ありますが、ちょうどそれくらいが限度であって、それ以上増えると人間の細胞は傷んでしまいます。酸素は多すぎると人体には有害であり、それを逆手にとって菌を殺すために使われています。さらにオゾンは、そのものが人体にとっては有害なんですね。その理由は細胞を殺してしまうからです