人間の血液には、白血球という外部や体内の菌や炎症から身体を守る細胞がある。

「白血球は、活性酸素を作って菌などを攻撃します。オゾンも同じで活性化された酸素で菌を殺しているんですね。その意味でオゾンは絶対悪ではない。だから効果が表れる場合もあるようですが、それをどの程度使えばいいのかという量は、ものすごく微妙なもの。薬も過ぎれば毒になりますが、その調整はほぼ不可能で、白血球にしかできない。毒としてしか働いていないのではないかと思います」

現段階では危険
今後の可能性は?

 今後、有用な療法になる可能性はあるのだろうか。

「先のことは誰にも言えませんが、理論的にはありえない。殺菌作用があるので、ある一面を見れば効果があるかもしれない。しかし、オゾンが有害である以上、ほかの面への悪影響から逃れられない。

 現在では、さまざまな治療に抗生物質が使われています。健康な細胞は傷めずに、悪い菌のみ殺すことができるようになっているわけです。長い年月をかけて研究されてきた抗生物質ですら副作用があります。それでも、効果のほうが大きいから使われているのです。リスクが大きいにもかかわらず、過去の方法を無理して使おうとすることは、理解できませんね

 血液クレンジングを商標登録している前出の健康院に取材を依頼すると、

「当院は、貴社の取材をお受けする公的な立場にはないので、申し訳ありませんが血液クレンジング(オゾン療法)のご質問につきましては、所属学会である日本酸化療法医学会にお問い合わせいただけますでしょうか」

 と返答があった。そこで日本酸化療法医学会、および同医学会会長が所属する『東海渡井クリニック』に取材を申し込んだが、コメントを提出する旨は伝えられたが、期日までに送られてこなかった。

 かの徳川家康は水銀を薬として飲んでいたという。研究が進めば、信頼に足る治療になるのか、それとも─。