天皇陛下の「おことば」で“にじんだお気持ち”
《国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います》
天皇だけが着用できる『黄櫨染御袍』(こうろぜんのごほう)と呼ばれる束帯姿で、国内外に即位を宣言された陛下。
宮内庁ОBで、皇室ジャーナリストの山下晋司さんに、おことばの感想を聞いた。
「中盤あたりで“世界の平和”という平成時にはなかった文言を使われていました。平成の即位礼から29年が経過し、世界情勢は変化しています。
グローバル化も今後ますます進むでしょうが、それに合わせて皇室の国際親善はより一層重要になっていくだろうとこの文言から改めて感じました。
“国民に寄り添いながら”という文言も平成時にはなかったものですが、上皇陛下が“国民とともに歩んでこられた道”を継承していくというお気持ちの表れだと思いました」
多くの海外賓客が招待された以外にも、全世界で『即位の礼』の様子が報道されたのだが、その効果とは?
「即位式を古式ゆかしい装束や、高御座などを用いて行うことは、先進国ではあるが伝統も大事にしている国だということを世界に示すいい機会だったと思います。
世界のほとんどの国から元首などが参列したことは、天皇は政治とは離れた、文化や伝統などの中心にいる存在だということを、諸外国も認識している証左でしょう」(山下さん)
雅子さまが1日で2度も!予定が“30分遅れた理由”
「即位礼の当日、雅子さまは朝7時に皇居へ向かわれ、身体を清める『潔斎』を経た後、『十二単』をお召しになってから、おすべらかしの髪を結われました。
9時からは陛下とともに、皇室の先祖などに即位礼を行うことを報告する『即位礼当日賢所大前の儀』に臨まれ、平服に着替えて昼食を召し上がり、その後まもなく再び十二単に着替えた午後1時に『即位礼正殿の儀』で『御帳台』にのぼられたのです」(式部職関係者)
ご負担のかかる十二単で、国内外に中継されるプレッシャーもおありだったことは、言うまでもない。
「陛下でさえ緊張されていたのか、おことばを読む手が震えていて、雅子さまの表情も強張っておられました。
緊張でお疲れになったのか、祝賀パレードも延期で時間の余裕があり、少し休憩をとられたことで、いったん皇居から赤坂御所に戻る時間が、予定よりも約30分遅くなられたのです」(侍従職関係者)
朝7時ごろに皇居に入られたときよりも、帰られた際のお顔はお疲れぎみの様子だった雅子さま。そして、同日にはもう1度、予定時間をオーバーした出来事が。