ピエール瀧・田口淳之介も標的に
しかし、逮捕されてから発覚したのは、今年に入ってからの“不穏な動き”である。
『週刊文春デジタル』が報じたのは、今年5月に静岡県の飲食店のステージで薬物をモチーフにした替え歌を披露する田代の映像。PUFFYの『アジアの純真』のAメロをもじり、
「アヘン、コカイン、マリファナ、ヘロイン たまにやって、パーになって やらんふりして、たまにはやらないか?」
とまさかのネタを披露していたのだ。50分のステージを2回行い、大盛況だったそうだ。完全にギャラが発生しているとしか思えない“薬(ヤク)営業”である。
ここで手応えを掴んだのか、6月に『田代まさし ブラック マーシー半生と反省を語る』と称したYouTubeチャンネルも開設。覚せい剤の恐怖を語る動画もあったが、刑務所で体験した面白エピソードトークや『全盛期にいくら稼いだか』『芸能界ウラ話 ヅラ編』といった暴露話にいたるまで、明らかに再生回数(=広告収入)目当てのものもアップロード。「チャンネル登録よろしく」のアピールも忘れない。
7月には『バリバラ』(NHK Eテレ)に出演し、「ピエール淳之介です」と登場。薬物で逮捕された芸能人をイジって笑いを誘った。いったい《他人の回復の手助けできているという自負》はどこにいったんだ。
つまり今年に入ってからというもの、『ヤク中×お笑い』という、芸人としては前人未到のジャンルを開拓していたのである。真相はわからないが、捕まった手前、これらの行動が「薬物購入のための資金繰り」と紐づけられてもしょうがないのではないか。というか、きっとそうだろう。
過去にダルクの施設スタッフとしての給料が月に15〜16万円ほどだったとも報じられている。生活にとって必要最低限の賃金といっていいだろう。これまでの逮捕のなかでも今回は出所から5年という、もっとも長いスパンでの再犯だった。
ふたたび芸で稼ぐことで薬物を買えるようになったのか。薬物に手を出したから稼ぐ必要性が生まれたのか──。どちらにせよ、逮捕の引き金となったのは『買える金があったから』の一言に尽きるのではないか。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉