さらに山下さんは「女性・女系天皇が容認されても“愛子天皇誕生”というわけではない」と続ける。
「女性・女系天皇が容認されれば、愛子内親王殿下が次の天皇になるという報道も見受けられますが、“長子優先”の規定がなければ愛子内親王殿下は皇位継承順位第1位にはなりません」
つまり、皇位継承順位を男系男子や年齢順、長子など、どの項目を優先するかによって、愛子さまの順位が変わるということだ。百地教授も、愛子さまが即位される実現性の低さを指摘する。
「過去には女性天皇が存在しているので、理論的には愛子さまが即位されるのは可能だと思います。しかし、現実的には厳しいでしょう。
ひとつには、女性天皇は一代限りであり在位中の結婚はできず、子どもを産むこともできませんでした。そんな残酷なルールを、愛子さまに強いるのは人権侵害でしょう。
また、女性天皇の議論は、男性皇族が1人もいらっしゃらない状況でなければ、すべきではないことが前提だと思うからです。3点目は、退位特例法を制定した際、政府は皇位継承順位を秋篠宮さま、悠仁さまの順番で決定しており、それを簡単に覆すというのはありえないと考えます」
こういった意見を踏まえると、今後、仮に女性・女系天皇が容認されたとしても『愛子天皇』の実現には“高いハードル”があるようだ。
前出の山下さんは、これらの問題について、最終的には天皇陛下のお考えを知ることが重要だと話す。
「皇位継承に関して、さまざまな意見がありますが、この問題は国家として重要であるとともに、天皇家としても重要です。この問題を国民が判断するために当事者である天皇陛下のお考えを伺いたいと思うことは当然だと思います。
今年5月のお代替わりが国民の祝福の中、行われたのは上皇陛下のお気持ちを国民が理解していたからです。皇位継承に関しても多くの国民が納得するためには天皇陛下のお考えを知ることが重要だと思います」
皇室の将来に重大な意味を持つ皇位継承議論は、どんな結論に行き着くのだろうか。