《日ごろ家から一歩も出ないヒッキーな自分は、道がわからずにいました》

《一人で切符を買えないダサい自分は必死になって駅員さんに……》

 三ツ本寛己容疑者は、卒業文集で中学時代をそう自虐的に振り返っている。しかし、それから10数年後、世間を震撼させる事件を起こした疑いで逮捕されてしまった。

 事件は11月8日、三ツ本容疑者の母親と妹がイタリア旅行に出かけている最中に起こった。

「継父に恨みがある」

 東京・東久留米市の容疑者の母名義の一軒家の寝室で、母の内縁の夫(継父)でIT会社の派遣社員の二岡一浩さんが、刃物で全身70か所をメッタ刺しにされて殺害されたのだ。

 同日の午後、二岡さんの勤務先から、

「二岡さんが出勤していない」とイタリアで連絡を受けた母は、現場から2・4キロ離れたマンションに単身で住んでいた次男で無職の三ツ本容疑者に連絡。容疑者が自転車で駆けつけ通報したという。

 警視庁田無警察署の署員が駆けつけると、「焼き切り」という手口で窓が割られていて、中は金品を物色したように荒れ放題。70か所以上、刺された二岡さんの血しぶきは天井まで届いていた。

 しかし、焼き切りと室内荒らしは、物盗りの侵入に見せかけた偽装工作だったようだ。

 警察は12月2日、三ツ本容疑者を強盗殺人の疑いで逮捕した。

「(継父に)恨みがある」と話していた容疑者は逮捕容疑については否認しているという。