被災者と同じ目線でひざをつかれて

「両陛下は'95年の阪神・淡路大震災の発生時、外国訪問の日程を繰り上げて帰国され、2か月連続で被災地を見舞われました。東日本大震災時にも、ご体調が万全でなかった雅子さまの強いご希望で、ご夫妻で訪問を何度も重ねられたのです。

 昨年9月には、その前年の九州北部豪雨で被害を受けた福岡県朝倉市の仮設住宅で、避難生活を送る人々に寄り添われるなど、被災者に対する強いお気持ちをお持ちなのです」(前出・侍従職関係者)

 宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さんは、皇族が被災地を訪問されることには“3つの意味”があると次のように話す。

「皇室の方々が被災地を訪問されることで、被災者は励まされますし、その様子が報道されることで、被災地や被災者の状況を国民がより知ることになります。皇室の方々にとっても、災害というものを肌でお感じになることでしょう。

 テレビなどでご覧になったり、知事や関係者からの説明をお受けになるだけではなく、ご自身の目で見て、被災者の声を聞き、お声をかける、そういう直接的なご活動は国民とともに歩む皇室にとって非常に重要です」

長崎県の雲仙普賢岳で噴火被害に遭った住民を励ますため、ひざをつかれて目線を合わせた上皇ご夫妻('91年7月)
長崎県の雲仙普賢岳で噴火被害に遭った住民を励ますため、ひざをつかれて目線を合わせた上皇ご夫妻('91年7月)
【写真】十二単をお召しになって伊勢神宮に即位礼の終了を“奉告”された雅子さま

 上皇ご夫妻も平成のときに、被災地にたびたび赴かれていて、現地に足を運ぶ大切さを両陛下にもお伝えになっていることだろう。

 とはいえ、即位行事によってお疲れでいらっしゃる雅子さまはなぜ、一刻も早いお見舞いを希望されたのだろうか。それは、これまで国民から励まされたことが関係している。

皇室の方々は国家や国民のため、全身全霊をもってお仕事をされています。その一方で、非常に厳しい状況の中でも頑張っている国民の姿に、皇室の方々も励まされておられるでしょう。

 皇后陛下はまだ万全とはいえないご体調の中、努力されながらも被災地を訪問されると、国民からは喜びの声が上がります。そういう喜んでくれる国民の姿は、皇后陛下の力にもなるでしょう。

 現在は、皇室と国民の双方が喜び、励まされるという非常にいい関係が築けていると感じます」(山下さん)

 雅子さまの笑顔とお心遣いで、被災者の心も救われることだろう────。