問題がこじれた背景には、学校や市教委の対応のまずさがある。被害者の母親は、
「学校や市教委も、こちらが頼んだことに対し、“やりました”と言いながら、実はやっていなかったり、私を『モンスターペアレンツ』に仕立てようとしました」
平気でウソをつく大人たち
学校側の常識はずれの対応の、一端を列挙すると─。
不登校になった被害者のため、校長が作成した文書『今後の支援体制について』が教職員に共有されることなく、「担任も知らなかった」(母親)。被害者が出席できなかった卒業式の午後、校長が突然、自宅に来たので拒絶すると、卒業アルバムを自転車のカゴに入れて帰った。弁護士が法廷で卒業証書を手渡そうとした。
裁判には、事実を隠蔽する陳述書まで、校長や顧問から提出されたという。そこには《3年間を通じて1度も直接の言葉で訴えを聞くことができず難しい対応》《訴えは、すべて母親からのみ》と記され、顧問は「いじめの相談を受けたことはない」と、しらを切る。
校長はかつて被害者からいじめの訴えを聞き、謝罪。顧問も相談に応じたことがあったが記憶はウソをつくようだ。
さらに裁判では、埼玉県警が作成した内部文書に虚偽の疑いがあることも浮上した。
被害者が受けた暴行について、警察が、聞き取り調査とは正反対の「被害者が2回足蹴りしていた事実があり、原因を作ったのは被害者」という文書を提出したのだ。
大人らが平気でウソをつく、まさに異常事態。今年3月、川口市の教育長が「初期段階で組織的に迅速な対応が遅れてしまったことで、さらに生徒を傷つけて(中略)お詫び申し上げます」と謝罪したが、当事者からの被害者への謝罪はいまだないという。