国民的ヒールを作りあげた父・史郎
亀田 過去の経験があるから、弟たちに対しても「もっとこうしたらいいのに」と思うことはあります。
でも、自分の考えを無理に押しつけるのはいい結果にならないと気がついて。弟たちの人生にレールを敷くのは簡単だけど、本人が「やりたい」と思わないと続かないですからね。
原田 そういう意味では、お父さんの亀田史郎さんは「世界チャンピオン」というレールをしっかり敷いて厳しく子育てされてた印象があります。
亀田 親父は「お前らはボクシングの世界チャンピオンになるんや。それだけに集中しろ」と言って子どもたちの前に絶対的なレールを敷いてくれて、自分はその上を走っただけという感覚です。
昔はイヤなこともたくさんありましたけど、結果的に世界チャンピオンにもなれて今の仕事にもつながっているわけなので親父には感謝しかないです。
原田 亀田一家の登場は、ボクシングを知らない人にとってもセンセーショナルな出来事でしたよ。ヒールな立ち回りで、実力も伴うボクサーでしたからね。プロデビューの会見はインパクトありましたからね!
亀田 実は、プロデビューの記者会見のパフォーマンスは、親父が考えた演出だったんですよ。もともとの性格はすごい人見知りなので、恥ずかしいし、人前でしゃべれるわけないやん! って思ってました。会見の前日は緊張して眠れなかったです(笑)。
原田 すごく堂々としてましたよ! 練習したんですか?
亀田 家で猛練習しました。 過激なセリフを言って、雑誌を破いて、記者からの質問も想定して回答も考えました。実は、親父はすごく過保護なんですよ。なんでも先回りしてやってくれるんです。
原田 お父さんにはプロデューサーの才能があるんですね。
亀田 そうなんでしょうね。「まずは多くの人に顔を知られないと意味がない」という方針で、親父は早い段階から「ヒール路線」で考えてました。たしかに、いい子よりも嫌われ者のほうが目立ちますからね。