プライベートは友だちといるタイプ

 今後、どんな俳優になっていきたいかと尋ねると、

「表舞台に立っているときは、キャーって言われるような華やかな世界かもしれないですが、人としても役者としても、1個1個いろんなことに気づかないといけないと思っています。

 その気づきがお芝居にもつながったりすると思うので。ひとりでいることが多いので、この仕事をするようになって、いろいろな考えだったり気づきだったりをもう何周もしているんです。

 つい1年前は絶対だと思っていたことが違っていたと思うようなことを繰り返しています。それで少しずつ成長できていると思うので、すごく孤独な作業ですが、そういう時間は大事だし、常に持っていたいなと思います

 仕事に関してはストイックな金子さんだが、プライベートはかなりの寂しがり屋のようで─。

「普段はひとりが苦手です。誰かといたいと思うタイプなので、ご飯も必ず仲のいい友達に連絡して行きます。友達と会っているときがいちばん楽しいです」

 初対面の人は苦手な人見知り。でも、インタビューではひとつひとつじっくり考えて答えてくれた。

「人見知りするのは実際、最初だけなんですけど(笑)。友達といるときは、ぜんぜん違うと思います」

 性格は頑固なところもあると自己分析し、“これだけは譲れないもの”がいくつかあるという。シャイで一見つかみどころがないが、とてつもない可能性を感じさせる23歳が挑戦する初舞台を、ぜひ見届けたい。


彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾『ヘンリー八世』
英国王ヘンリー八世(阿部寛)の宮殿では、国王の寵愛を受けながら出世のために策略をめぐらす枢機卿ウルジー(吉田鋼太郎)が勢力を強めている。ある晩、王はウルジー邸の晩餐会で王妃に仕える女官アン・ブリンに心奪われ、王妃キャサリンとの結婚を無効にしようと離婚裁判を起こすが……。埼玉公演:2月14日~3月1日@彩の国さいたま芸術劇場大ホール/北九州公演:3月14日~15日@北九州芸術劇場 大ホール/大阪公演:3月19日~22日@梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

かねこ・だいち 1996年9月26日、北海道出身。'15年、俳優デビュー。以降、ドラマ、映画などで活躍。'19年にはドラマ『腐女子、うっかりゲイに告る。』(NHK)で主演を務め、『チート~詐欺師の皆さん、ご注意ください~』(日テレ系)などに出演。W主演した映画『猿楽町で会いましょう』が今秋公開予定。

取材・文/井ノ口裕子 スタイリスト/甲斐修平
ヘアメイク/鶴見俊介 衣装協力/セットアップ(ともにBlank YM)