「何で引き止められなかったんだろう(笑)。偉い人がボク自身の気持ちを尊重してくれたのかな」
2月21日に会見を開き、ジャニーズ事務所からの独立を正式に発表した中居正広。ときおり、笑いを交えながら約2時間、報道陣からの質問に答え続けたのだった。
「レギュラー番組は継続で、現在の担当マネージャーもそのまま“出向”させるなど、至れり尽くせりの超円満退社。何よりも、今回の会見を開くことを許可し、ジャニーズに不利益をもたらすかもしれないリスクがありながら、自由に話をさせたことに驚きです。異例の特別待遇と言えるでしょう」(スポーツ紙記者)
そう、これまでの“退社組”といえば、経緯などを発言することもほとんどなく、さらに活躍の場が失われることも多々あった。しかし、中居に関してはそんな心配は全くなさそうだ。
「昨年7月の公正取引委員会による、ジャニーズへの“注意”も影響しているとは思いますが、実はジャニーズが中居に“忖度”せざるを得ない事情があったともいいます。最悪の場合、“ジャニーズ事務所内の分断もあったのではないか”と言われているのです」(芸能プロ関係者)
“分断”とは穏やかではないが、中居の退社と何が関係あるのだろうか。それは彼がSMAP時代から積み上げてきた実績と、人徳が深くかかわっているようだ。
中居と言えば、NHK紅白歌合戦でも6度の司会をつとめた国民的司会者でもある。また夏季冬季合わせて8大会連続で五輪番組を進行するなど、キャスターやMCとしても定評がある。
「今でこそ、嵐の櫻井翔や関ジャニの村上信五ら、ジャニーズタレントの司会やキャスターとしての起用は珍しくないですが、その草分け的存在が中居です。彼の実績があるからこそ、新分野を開拓できたといっても過言ではない。また、これまでのキャリアで培ってきた、ダウンタウンの松本人志や笑福亭鶴瓶、タモリ、明石家さんま、ビートたけしら大御所との人脈も強みになっています」(同・芸能プロ関係者)
一方で、ジャニーズ内でも慕われ続ける人徳がある。
「ほぼ毎年開かれていた、ジャニー(喜多川)さんの誕生日会で、SMAPでいちばん参加していたのが中居さん。マッチ(近藤真彦)やヒガシ(東山紀之)ら先輩からも一目置かれる存在で、いつも輪の中心にいました。そのカリスマ性に心酔する後輩も多い」(テレビ局プロデューサー)
そんな中居“信者”の中には、大野智をはじめとした嵐も含まれるのだとか。
「デビュー後に伸び悩んでいた嵐が、それぞれの個性を光らせ始めたのが『うたばん』(TBS系)です。そして、コンサートの心得やバラエティー番組での振る舞いに至るまで、ことあるごとに中居さんに相談していたそうです。いわば嵐メンバーの師匠なんですよ。ブレイクした嵐は、何かとSMAPと比較されることも多かったですが、中居さんは常に彼らを気にかけていましたよ」(同・プロデューサー)
今やグループ会社の社長としてJr.を束ねる、滝沢秀明もまた中居を慕っているひとりだ。
「タッキー&翼を、デビュー前から“最後の後輩”ととてもかわいがっていたのが中居さん。そんな恩もあったからでしょう。タッキーが引退を決めた後に、真っ先に連絡を入れたのが中居さんだと言います。タッキーにとっても偉大な先輩だったのです」(同・プロデューサー)
聞けば聞くほどに、芸能界における中居の存在の大きさがわかる。ジャニーズ事務所は、彼のそんなカリスマ性を危惧したのだとも。
「ジャニーさんという絶対的存在を失った所属タレントは今、それぞれに不安を抱えていることでしょう。仮に抜群のカリスマ性を持った中居が本気で声を上げれば、残されたジャニーズタレントたちへの影響は計り知れません。
ジュリー(藤島)社長としては、最悪の可能性だけは防がなくてはならない。幸い、中居との関係性は悪くはありませんから、独立後の厚待遇を“用意”したのかもしれませんね。お互い、今後のためにも賢明な判断だったと言えます」(前出・芸能プロ関係者)
なるほど、ジャニーズの“分断”を阻止するために、中居に気持ちよく退社してもらう必要があったのか。彼にしてみれば、納得いく独立宣言になったいえよう。
「今後は自身の番組に、香取慎吾ら『新しい地図』を呼ぶことも可能でしょう。さらに言えば、事務所の壁を越えたSMAPの再集合も不可能ではない。これは1日にしてできることではなく、約30年にも及ぶ芸能活動で積み上げてきたキャリアがあってこそ。これから、中居社長による“大改革”が楽しみで仕方ありません」(同・芸能プロ関係者)
会見終了後には、報道陣から自然と拍手が沸き起こった。ジャニーさんのように、中居もまた人を惹きこむ力を持っているのだろうーー。