固形より液体のほうが望ましい
東北大学病院・感染管理室の徳田浩一室長が“正しい手洗い方法”をレクチャーする。
「水と石けんでいい。殺菌効果まで期待しておらず、ウイルスを洗い流したいんです。手のひら、手の甲、指の間、親指のほか、指先を猫の手のかたちにすぼめて、もう片方の手の腹の上でねじるように洗います。爪のすき間まできれいにするためです。
さらに、その猫の手を第1関節で曲げてねじり洗い。これで爪の周囲の溝をカバーできます。爪が伸びていると洗い残しが心配なので、医療従事者は短めに切りそろえています。時間よりも正しい手順で行うことが大事で、20秒はかかるはずです」(徳田室長)
このご時世では、おしゃれで伸ばす爪よりも命だ。
前出の佐藤院長は「石けんは固形より液体のほうが望ましい」とつけ加える。家族で同じ固形石けんを使うと、感染リスクになるからだという。
「液体石けんの容器はときどき交換します。ウイルスはたまりませんが、細菌がたまることがあるので」(佐藤院長)
外出先の施設入り口などにある手指用アルコール消毒剤の使い方にも注意したい。ワンプッシュでは少ない! と感じる人もいるようだが、押し切って出るのが適正量になる。
「むしろ少し多いぐらい。それを手や指にまんべんなく擦り込み、最後までもみ込みながら乾かしてください。手をパタパタ振って乾かすのはダメです。手先にちょこっとつけただけで終わりにしても効果がありません」(同・院長)
手洗いと消毒をほぼ同時に両方する必要はない。特に濡れたままの手で消毒しても効果は薄くなるという。
家庭内では、どこをどのように消毒すればいいか。
京都大学大学院医学研究科の医師でジャーナリストの村中璃子さんは、次のようにアドバイスする。
「家庭内に症状のある人がいない場合には、特に自宅内を神経質に消毒する必要はありません。外から帰ってきたらコートや鞄などは1か所にまとめて置き、すぐに手を洗いましょう。
家庭内に症状のある人がいるときは、ドアノブやテーブルなどほかの家族がよく触れる部分、トイレ(便の中からウイルスが検出されている)を台所用漂白剤を薄めたものでこまめに消毒しましょう」