先輩・後輩じゃない
「相方として喋りに来た」
矢部は言う。今から自分は公開説教をしようと思う、と。そしてまず、自分に「ホンマごめん」と謝罪してくる岡村に、厳しい言葉を返す。
「本番でしか謝れへんよね。オフで絶対(謝罪が)ないよね、俺にね」
もともと同じ高校のサッカー部の先輩、後輩の関係だった2人。後輩の矢部が、先輩の岡村を誘う形でお笑いの世界に飛び込んだ。だから、そんな先輩・後輩の関係がコンビの関係にも投影されている。矢部は岡村に対し、よく「岡村さん、何してはるんですか?」と下から目線でソフトにツッコむが、これも後輩・後輩の関係を前提にしたものだ。
しかし、説教をしにきた男は言い放つ。
「俺は元サッカー部の後輩やけど、でももう違うのよね、あなたと俺は。今日は、コンビの相方として喋りに来ました」
矢部は岡村を「あなた」と呼び、問いかけていく。俺はこれまであなたに謝られたことが一度もない。未だに先輩という意識が消えていないのではないか。体調悪化で休養に追い込まれたあなたが『めちゃイケ』の収録でカムバックしたとき、あなたはカメラの前で俺に「すまんかった」と言った。しかし、収録が終わったオフの場面であなたから来たメールは、「すべて笑いに」の1行だけだった。もう少し何か言うことがあったのではないか。
矢部の説教は、岡村のパーソナルな部分にも踏み込んでいく。
あなたは楽屋でスタッフがコーヒーを入れてくれたとき、「ありがとう」のひと言もない。夫婦がうまくいく秘訣について番組で俺が「『ありがとう』と『ごめんなさい』を言うこと」と答えたら、あなたは「白旗あげたんか」と言ったが、まさか女性を敵だと思っているのか。
お腹に赤ちゃんがいますっていう(マタニティ)マーク。あれ付けてるけど席譲ってくれないみたいな話に(番組で)なってんけど、あなたが“あれいる?”って言うたのよ。
あなたのそういうところが今回、露呈したのではないか。時代が変わったせいではない。このご時世だからではない。何よりもあなたの“根本”に、問題があるのではないか――。