「岡村さん」ではなく「あなた」
矢部の今回の説教には批判もある。「結婚してるからえらいとかじゃない」とも言ってはいたものの、男性が成熟するには結婚が必要とも受け取れるような発言もあった。
問題の“火消し”効果を狙ったものという面も拭えない。そしてなにより、コンビ間の絆のような話に帰着させるのは、今回の問題をうやむやにするのではないかという声もあるだろう。
ただ、いま不特定多数の第三者の声に囲まれ批判されている岡村に、「あなた」と二人称で呼びかけ諭す声があること。自分の言動が行き過ぎてしまったときに、「あなた」と呼んで正してくれる人がいること。
人の“根本”が変わるというのは、そんな具体的で大切な誰かからの「あなた」という呼びかけに、真摯に向き合う中でしか果たされないのではないか。えらそうなことは言えないけれど。
「岡村さん、何してはるんですか?」
これまでそう何度もツッコんできた男は今回、一度も「岡村さん」と呼びかけなかった。後輩ではなく相方としてやって来た矢部は終始、岡村に「あなた」と呼びかけ続けた。その矢部の一貫した姿勢が何よりも、岡村に響くとともに、ナインティナインのこれからの関係を指し示しているようにも思えた。
文・飲用てれび(@inyou_te)