日本人は危機感が足りない、甘すぎる!
■マルコ・マッセターニさん(イタリア)
「イタリアの新聞にローマで有名なナヴォーナ広場のことが書かれていました。多くの人でにぎわっていたこの広場も外出禁止で人が訪れなくなったら噴水の石の間からは草が生えてきていました。私はその記事を読んで泣きました。しかし、改めてウイルスのことも怖くなりました」
と声を詰まらせた。だからこそ日本人にももっと危機感を持ってほしいと願う。
「コロナによる生死だけではありません。ここ数か月で何十億人の人生が変わりました。他国は日本のことをとても心配しています。日本に住む外国人が思っているのは“日本の対応が甘すぎる”ということ。自分の国が大変な状況になっているのを見ているから“なぜ日本はやらないの”と思うんです」
イタリアでは3世代同居も珍しくない。最初、若者が感染し、帰宅後に同居する高齢者や家族にうつったとみられている。特に日常から交わすキスやハグを通して感染が拡大したともいわれている。
「イタリア人がこんなに長くほかの人に触れられないのは初めて。ストレスになっている人が多いです。家族や友人に触れたいんです。ですが、触ることが怖くもなっています。イタリアはもう、以前のイタリアには戻れません」
感染だけでなく、経済活動の低迷や自粛生活が長引いたことにより自殺者が増えることも懸念しており、日本政府へ対応策の検討を訴える。
だが、希望もある。
「イタリアに住む家族の隣人は音楽家で、夜になるとベランダでチェロを弾いて人々の心を慰めているそうです。
日本でも今はほかの人のために何ができるかを考え、一緒にがんばらなくてはいけません。沖縄には『イチャリバチョーデー』という言葉があります。これは『みんなきょうだい』という意味です。乗り越えるため、みんなで一緒になって励まし合っていきたいです」
マルコ・マッセターニさん◎1997年来日。翌年、沖縄県に移住し、イタリア語や料理指導を行う『イタリアンカルチャー倶楽部』を開設、代表に。在沖縄領事連絡員として、通訳なども務める。