「100年前に日本を襲ったスペイン風邪も2年間に3回の波があり、第2波で多くの死者が出ました。今回の新型コロナも、秋以降に来るであろう大きな波が猛毒化している可能性があります」
と説明するのは、渡航医学が専門の関西福祉大学の勝田吉彰教授。
39県の「緊急事態宣言」が解かれ、残る東京、大阪などの大都市圏も解除される見通しの昨今、それに伴う“ゆるみ”が懸念されている。
より猛毒性があるウイルスが日本に来たら……
NPO法人『医療ガバナンス研究所』の上昌広理事長は、
「いったんおさまった韓国ではクラスターがあり、中国の武漢でも1か月半ぶりに感染者が出てきています。すでに第2波が始まっている可能性がある」
と警告する。東京・品川区の感染症専門医『KARADA内科クリニック』の佐藤昭裕院長は、
「ある数理モデルによると、一気に規制を解除すると、わずか2週間で感染がもとの状態に戻ってしまうといわれていますので、徐々に解除していったほうがいいし、私たちも気を引き締めたいですね」
と注意を促す。
今回の新型コロナは高温多湿に強くないため、夏場には活動が弱まるようだが、完全になくなるわけではない。
どのような形で、私たちに再び襲いかかってくるのか─。前出の上理事長はこんな見立てをする。
「欧州や米国東海岸(ニューヨークなど)の大西洋を隔てて広がるエリアのコロナと、アジアや米国西海岸(ロサンゼルスなど)の太平洋エリアのものでは、感染力も死亡率も大きく異なります。
同じコロナウイルスでも種類が違う可能性が高い。より猛毒性があると思われる大西洋タイプが入ってきたら、これまでの対策ではもたないでしょう」(上理事長)
新型コロナで子どもの足などが赤く腫れる川崎病のような症状や血栓ができる症状は、海外では報告されているが日本はまだ。つまり、日本人にとっては未知の種類である可能性もあるのだ。
グローバル化した世界ならではの感染拡大の懸念を前出の勝田教授が示す。
「日本などの北半球はこれから気温が上がり感染拡大は減り、南半球は逆に感染が増える可能性があります。今後の自粛の解除によって人の行き来がまた増えれば、南からウイルスが侵入することがありえます」
ウイルス学が専門の日本医科大学の北村義浩特任教授も、
「最初は暑さには弱いといわれていたけれども、南半球のシンガポールやオーストラリアでも発生した。また、味覚や嗅覚の異常もあとから報告されるようになったように、わからなかったことが多い。今後も未知の症状が出てくることも十分に考えられる。私は日本国内の新型コロナも、県や地域によって違う種類なのではと見ています」
と語る。先の佐藤院長も、
「実際に感染が拡大しないとわかりませんが、ウイルスは変異していく特性があるので、より凶悪化していくおそれもあります」
と、やはり警戒する。