不倫相手に逃げられた失態も隠さない
既婚男性と若い女性の不倫は、ワイドショーのメイン視聴者である女性には決してウケはよろしくないと思います。このルールで言えば、石田も芸能界から消えてもおかしくなかった。しかし、石田の面白いところは、不倫相手に逃げられるという失態を隠さないところだと思うのです。
石田は長谷川と長期間交際しましたが結局、結婚しませんでした。破局後に石田は、長谷川が食べたいと言った人気のシュークリームを買うために並びましたが、売り切れで手に入れられなかったところ、長谷川に「オトコは結果がすべて」「なんのために名前があるんだよ」と責められたことをいろいろなバラエティー番組で明かしています。また、石田の自叙伝『マイライフ THE DAY IN MY LIFE』(幻冬舎)で、長谷川に「加齢臭がクサイ」「あっち行け」と言われたこと、長谷川が成城に住みたいというので土地を買ったら、フラれてしまったと書いています。
「若いオンナに入れあげて、女房子どもを捨てたら、仕事は激減。結局、若いオンナにも逃げられた」という話は、フツウの男性なら隠しておきたい出来事でしょう。しかし、石田はそのみっともない話を明らかにすることで、「不倫をしても、いいことはない」という印象を与えることができて、結果的に視聴者の溜飲を下げさせたのだと思うのです。
コロナの脅威の前で際立つ石田のズルさ
明らかにするといえば、石田は現在の妻、東尾理子へのプロポーズも『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で公開していました。見上げたプロ根性という人もいれば、プロポーズという二人の記念を飯のタネにする自己中心的な人と見る人もいるでしょう。こういう人はちょっとやそっとのバッシングには負けないでしょうが、すべてをさらけだす芸風が受け入れられる大前提は、「視聴者に無関係で無害なこと」だと思うのです。所詮はヒトゴトだから、笑えるわけです。
しかし、新型コロナウイルス感染は誰にとっても脅威です。志村けんさんや岡江久美子さんをはじめ、有名人も一般人も多くの方が命を落としています。気になる症状があっても未だに検査を受けられない人も相当数いるでしょう。そんな中、好きに遊びほうけて感染し、感染を広めかねない行動を取り、感染してもすぐに入院できて回復している。ズルい人だというイメージを持たれてもしかたがないのではないでしょうか。
視聴者に飽きるまで叩かせて、許してもらう芸風で芸能界を生き残ってきた石田は、生命力の旺盛なタイプと言えるでしょうが、今度という今度はそうはいかないかもしれません。イメージが回復されるとしたら、新型コロナウイルスが季節性のインフルエンザと同じように予防と治療法が確立されたころではないでしょうか。ワクチンや治療薬の開発を、誰よりも望んでいるのは、石田本人かもしれません。
<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」