2019年3月に相次いだ性犯罪の無罪判決
■3月12日 福岡地裁久留米支部
飲食店で行われたサークルの飲み会に初めて参加した女性が、テキーラを一気飲みさせられるなどして泥酔。店内のソファで眠り込んでいるところを、男性(44)が性行為に及び、準強姦罪に問われた。判決は、女性が抵抗できない状態だったことは認めたが、女性が許容していると被告人が誤信してしまう状況にあった、と判断。検察側が控訴した。(今年2月、高裁で逆転有罪)
■3月19日 静岡地裁浜松支部
メキシコ人男性(44)が女性(25)に対する強制性行致傷罪に問われた。女性が「頭が真っ白になった」ために抵抗できなかったことから、「被告人が、自身の暴行が反抗を著しく困難にする程度のものだと認識していたと認めるには合理的な疑いが残る」として「故意」を認めなかった。検察側は控訴せず、無罪が確定。
■3月26日 名古屋地裁岡崎支部
長女(19)に以前から性的虐待をしていた父親が、2017年8月と9月の2回の性交について、準強制性交等罪に問われた。判決は、長女について「抵抗する意思や意欲を奪われた状態」であり、「性交は意に反するものだった」とは認めた。しかし、「被害者の人格を完全に支配し、強い従属関係にあったとまでは認めがたい」とし、「(長女が)抗拒不能の状態にまで至っていたと断定するには、なお合理的な疑いが残る」と判断した。(今年3月、高裁で逆転有罪)
■3月28日 静岡地裁
12歳の長女に対する強姦などで起訴された父親について、裁判所は「唯一の直接証拠である被害者の証言は信用できない」と判断した。検察側は、長女が約2年間にわたり、週3回の頻度で性行為を強要されていたと主張したが、長女の証言が変遷しているうえ、狭い家に7人暮らしなのに「誰ひとり気づかなかったというのはあまりに不自然、不合理」などと退けた。父親は携帯に児童ポルノ動画を所持した罪では罰金10万円の有罪となった。