妻に不満があるから夫が不倫する?
しかし、ズルいのは渡部だけではありません。芸能人の既婚男性が不倫をしたとき、オジサマ御用達メディアでは、必ずといっていいほど「夫が不倫をするのは、妻に至らないところがあるからだ」という「妻がヤバい説」が浮上します。オジサマたちのこの言い分、一見もっともらしいところがズルくてヤバいと思うのです。
6月10日付の『東スポWeb』では《アンジャッシュ・渡部 妻・佐々木希に大きな不満を感じていた?》として、渡部は佐々木が「片づけられない女」であることに不満を持ち、不倫の原因になったのではないかと報じています。じゃ、夫が服を脱ぎ散らかしたりしたら、妻が不倫してもいいんでしょうか?
6月16日付『日刊ゲンダイDIGITAL』では《産後妻を持つ夫に潜む“渡部建リスク” 家庭に居場所なしか》という記事を掲載しています。「子供と奥さんの濃密な空間に男性が入る余地が少しずつ減り、家庭で自分の居場所を失っていったのだろう」と、不倫の原因を“疎外感”だとしていますが、初めての子育てで、妻がてんてこ舞いしているのに、なぜ夫の居場所まで妻が配慮しないといけないんでしょうか?
オジサマたちの言うことにゃ、妻がしっかりしていることも不倫される原因になるそうです。女優・杏の夫、俳優・東出昌大が不倫した際、2020年1月26日付の『日刊ゲンダイDEGITAL』では、《東出昌大は「帰宅拒否症」だった“理想の夫婦”の哀しい現実》という記事を掲載しています。「家庭生活で完全にイニシアチブを握ったのは、役者としてのキャリアが上で、しっかり者の杏。夫婦が役者を続けていくために、育児と家事をきっちりと分担することを東出に提案したという」「これが東出が“イクメン”と呼ばれるきっかけにもなったわけだが、理想の夫を演じ続ける中で彼の心の中に少しずつ“見えないストレス”が蓄積されていったようだ」と書いています。あのぉ、仕事と家事と育児をしている妻にはストレスがないと思っているんでしょうか?
「不倫するのは、配偶者に不満があるから」説のズルい点は、「男性にだけ」適用されることなのです。たとえば、女優・斉藤由貴が夫と子どもがある身でありながら不倫をした際、「夫に不満があったから」と日刊ゲンダイも東スポも言いません。2017年9月9日付『日刊ゲンダイDIGITAL』では、斉藤由貴の不倫について「とくに全盛期を知らない若者世代から見れば、年甲斐もなく肉食でキモいおばさんにしか映らない」「年も立場も忘れて男に走った罪は自分で償うしかなく、罰は重い」と手厳しい。これってつまり、「オトコの不倫は妻のせいだが、オンナの不倫は身の程を知らないおばさんの罪だから、罰を受けよ」ということでしょうか? もしそうなら、オトコに都合よすぎてヤバいでしょう。