自宅の鍵を欲しがった容疑者
シッターを依頼したのは昨年12月から今年2月までで計4回。荒井容疑者は「時給2000円」と料金設定が高かったため、最初は断ろうとしたところ、
《時給1300~1700円でいかがでしょうか》
と幅を持たせてきたり、
《1000円でいいですよ》
と半額提案するほど必死だった。
「安くしてくれるのはありがたいけれど、最初の『時給2000円』は何だったのかと思ってしまう。次回の予約をとることにも積極的でした。慣れてきたのか次第に笑顔も見せるようになり、5回目のシッターをお願いしようとしたときのことです」
と、この女性はひと呼吸おいて振り返る。
「娘を公園に連れて行きたいので戸締まりのため自宅の鍵を預けてくれというんです。でも合鍵を作られたら怖いじゃないですか。それにシッターを頼むのはいつも夕方からで、日の短い真冬だったのでもう薄暗い時間帯なんですよ。結局、頼みませんでしたが、もしかしたら娘をそういう対象として見ていたのかもしれないと思うとショックです。事件は信じられません」
保護者の信頼を得るためか、シッター後の報告は具体的かつ詳細。子どもの成長ぶりがわかる書き方は巧妙で、最初から犯罪目的だとしたら恐ろしい。
女性は逮捕のニュースを受け、警察にも相談したという。
JR蒲田駅から徒歩10数分、築35年の分譲マンションで容疑者は両親らと暮らしていた。穏やかで人当たりのよい住人が多く、容疑者一家を悪く言う声はほとんどない。
「ご家族はみなさん誠実なんです。おばあちゃんと同居してらして、お子さんたちもいい子ばかりなのに……」
と前出の60代女性はため息をつく。