5位以下にも、日常で多く目にしたり耳にする機会の多かった言葉がズラリ。6位の『医療崩壊』には、
「医療関係者の方のご苦労は計り知れない。本当にありがとうございました」(79歳男性)
「自身も感染の危険があるなかでも、全力で患者を救う姿に敬意を表する」(51歳女性)
など、感謝の気持ちが込められたコメントが多かった。
また、新たな働き方となった『テレワーク/リモートワーク』についても、「IT後進国だと言われる現代日本にとって推進すべき事柄だと思う」(34歳男性)といった意見が。
「9位の『不要不急』も、今、活動ができなくなった舞台や芸能の人たちが“自分たちは不要不急の存在だったのか”と感じてしまっているようで、それはちょっと寂しくなります。
先日、中島健人くん(Sexy Zone)と平野紫耀くん(King & Prince)が司会を務めた日テレの音楽番組を見たのですが、やっぱり音楽の力とイケメンの力ってすごいなと感じたんです。徳島えりかアナウンサーが羨ましかったですね」(辛酸さん)
物々しい言葉が多く並んだが、厚生労働省が感染拡大防止を呼びかけるキャラクターに採用した『アマビエ様』には、
「暗くてやりきれないニュースが続いているが、可愛いアマビエが流行(はや)ったのはよかった」(47歳女性)
「これをお守りにして、コロナになんか負けるもんか!」(64歳男性)
12月の『新語・流行語大賞』の結果ははたして──。
辛酸なめ子が選ぶ流行語大賞TOP3
【1位】 アベノマスク
【2位】 アマビエ様
【3位】 イケメン知事
今回のランキングを見て感じたのは、言語化することの大切さ。今はとても不安な世の中ですが、言葉にして、みんなでそれぞれ盛り上がることは大切だなって思いました。これで今年オリンピックが開催されていたら、コロナ関連ではなくオリンピック関連の言葉がたくさん話題になっていたのかなと思います。
私自身でランキングをつけるなら、1位はやっぱり『アベノマスク』を選びます。これは国民全員に関係するって部分が強いですよね。日本の政府の迷走ぶりを、すごく表している6文字だなと。もし、『アベノマスク』が『新語・流行語大賞』にノミネートされたら、誰が授賞式に呼ばれるんでしょう? 安倍さんは来ないと思うので、疑惑のマスク会社の人たちでしょうか。
2位は『アマビエ様』です。キャラクター自体も可愛いですし、やっぱり和みますよね。『ゆるキャラ』ブームのような『アマビエ』ブームが起こっていた気もしますし、これもノミネート目指して頑張ってほしいです。
3位は『イケメン知事』。大阪府の吉村知事は、なんとグッズが売り出されたとか。通販でマグカップや缶バッジ、キーホルダーなどが買えるようです。奥さんもすごく美人な方らしいですよね。イケメン知事が盛り上がっているので、各県の副知事まで調べたらもっとイケメンがいるんじゃないかなって思っています。
また、天皇・皇后両陛下が、新型コロナウイルスについて、あまり発言されていないことも気になっています。タイミングが難しいのかもしれないですが、天皇陛下のお言葉で、何かポジティブな言葉をおっしゃっていただけたらいいなと思いますね。
(取材・文/高橋もも子)
辛酸なめ子 ◎漫画家、コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。近著は『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)、『おしゃ修行』(双葉社)、『魂活道場』(学研)など。「新語・流行語大賞」選考委員を務める