「“ジャスティス”が感じられないよ!」
開口一番そう憤るのはカイヤ。夫の川崎麻世とは2年半にも及ぶ離婚裁判中だ。裁判の原告は川崎で、カイヤは離婚と損害賠償を求めて反訴した。DVの有無や生活費などの金銭負担をめぐり主張は対立したが、今年2月に下された判決は、川崎の主張が認められ、反訴は棄却となった。
“ドロ沼”となってしまった離婚裁判の“現在”について、控訴したカイヤに話を聞くと、彼女は冒頭の言葉を記者に投げかけた。ジャスティス─つまり“正義”である。
「私たちは350個も証拠を出したけど、向こうは全然出していなかったです。証人も20人以上出しました。暴力のこと、お金のこと、見ていた人はいっぱいいます。それなのに……ジャスティスがないと思いました」
川崎は“長い間、夫婦関係が破綻している”という主張を出しているが、そんなことはなかったという。
「そんなのおかしいです。(つじつまが)合わないですよ。彼の主張する夫婦関係が破綻していたという時期に、私たちの家で過ごしていたりベッドにいたり……家族の写真、夫婦の写真、いっぱいピクチャーも出しました。それなのに彼の言うことが認められるなんて。しかも彼は“浮気してない”とも主張してました」
情熱的になり、英語がまじる。思いを正確に伝えられない日本語を使うのがもどかしい様子だ。ありあまる証拠を提出したにもかかわらず主張が通らない憤りとやるせなさがそうさせるのだろう。カイヤは、川崎の裁判での主張は、「すべてがウソ」と訴える。
「彼が突然、何年も会っていない娘に会いたいって言ってきたことがありました。だから私、娘と彼の間に入って会わせようとしました。そしたら娘が、会うなら“裁判を取り下げる”という誓約書を彼が書かないと会わないと言ってきました。だから誓約書を書かせて、ビデオも撮った。でも、裁判は取り下げてくれなかった。私だけじゃなく子どもにもウソをつきました」
一方、川崎麻世は
川崎は今、何を思うのか。7月下旬、彼を直撃した。
─第1審では麻世さんの主張が通りました。その勝因はどのように考えていますか?
「事実がいくつもあることなので……。また、“ウソの証拠”がいくつもあっても……という話だと思います」
─カイヤさんが控訴されてからの、裁判の進展は?
「いや、特にないですね」
控訴審については「進展はない」と話していたが、実は、カイヤ側には川崎から“衝撃の書類”が送られていた。
「つい最近、“財産分与を求める付帯控訴”が彼からきたの。なぜこのタイミングなのか驚きました。私はこれまでずっと家族のために働いてきて、いつでも彼にお金を渡していたのに、まだ欲しいってことですかね? ようやく8月に裁判が終わるってタイミングだったのに、これでまた延びてしまうのが心配です」
カイヤは近々、NPO法人を立ち上げるという。
「『ストップ ザ バイオレンス』っていうDVに悩んでいる女性のためのNPO。DVを受けている女性はいっぱいいるけど、それを言えないでいる人たちを助けたい。裁判もDVで苦しんでいる人たちのために、ちゃんと戦いたい」
控訴審の着地は、いったいどこになるのだろうか……。